"「母の十分は無駄」と笑った夫の失脚" 第8話
だの「夜巡回の代わりにはならない」だの、こんな気な文言が並んでて誰が万もすんだよ。 いいか、スライドの文言は全部こうき換えろ。 「完全自見守り」「夜のコストをゼロにする最器」。 齢者はな、を煽ってから「これさえあれば」って言い切ってやれば、簡単に財布の紐を緩めるんだよ。 言われた通りに直せ。文句があるなら今期の査定、覚悟しとけよ』
画面のには、さんが送った返信も残されていた。
『佐藤部、発部の通達では、免責事項の削除はな規約違反になると警告されています。万が事故が起きた、会社としての責任を問われます』
それに対する、健の最の返信。
『事故なんて滅に起きねえよ。起きたら起きたで「使い方が悪かった」って突っぱねりゃいいんだよ。おは余計な使わずに、言われた通りに資料作って印刷しとけ』
文字が、赤黒い凶器のように私の網膜に突き刺さった。
過失でも、言葉の綾でもない。 部からの必の諌めを恫でねじ伏せ、警告を図に握り潰したでの、計画な詐欺だった。
「さん……これを、会社に?」
私が震える声で尋ねると、さんは唇をく噛みしめ、さく頷いた。
「はい。今朝、佐藤部から『おが勝にやったことにしろ。を被ってくれたら、ほとぼりがめたに俺が引きげてやるから』と湯で脅されました。
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……もう、限界です。の命を危険に晒してまで、あんなので働くなんてできません」
川がいため息をつき、元のバインダーを閉じた。
「これで、決定な証拠が揃いました。社内規定違反、なコンプライアンス違反、そして刑法の詐欺罪に該当する能性も含め、役員会で佐藤部の懲戒免職を含めた最終処分を決定します。……奥様、お辛い役回りをおかけして、本当に申し訳ありません」
私はただ、静かに首を横に振った。
辛いのではない。 、私が「仕事で、し器用なだけ」と信じ込もうとしていた男の仮面が、音をてて々に砕け散ったのだ。 そこにあったのは、する族を守る父親の姿などではなく、のみを貪りうだけの、浅ましい怪物の素顔だった。
そのの夜。
ガチャリ、と玄関の鍵が乱暴にく音がした。 続いて、ドサリといものが壁にぶつかる音。
私はリビングのかりをつけたまま、ダイニングチェアに座って待っていた。 テーブルのには、さんから共されたメールの文面と、芳さんの娘さんから預かった試算表のコピーが置いてある。
リビングの引き戸が、乱暴に蹴破るようにしていた。
部に入ってきた健は、異様な悪臭を放っていた。 酒の匂いと、脂汗の匂い。 ネクタイは失われ、ワイシャツの胸元ははだけ、髪はボサボサに乱れていた。
「……あ?」
焦点を失った充血した目が、私を捉えた。
「起きてやがったのか、おい……」
をもつれさせながら、健がリビングの央へとみてくる。 そのには、半分空になったコンビニのウイスキーのボトルが握られていた。
「おい、由美……お、川の野郎と、のガキと……何を話した……?」
呂律が回っていない。 だが、その瞳の奥には、すべてを失いかけたの、獣のような凶暴さが宿っていた。
「全部よ」
私は逃げも隠れもせず、その濁った線を受け止めた。
「あなたがさんに送ったメールも、芳さんに渡したきの計算も、すべて見せてもらったわ」
健の顔が、りと屈辱でどす黒く変した。
「あの裏切り者のクソガキが……! 恩を仇で返しやがって……! 社も役員も、みんなして俺を犯罪者扱いだ……! 誰のおかげで今期の売がってたとってんだ! 全部あいつらのためにやってやったんじゃないか!」
「の命を危険に晒して?」
「うるせええええええっ!!」
健がウイスキーのボトルをテーブルのに叩きつけた。 ドカン、と鈍い破壊音が響き、製の板にい凹みが刻まれる。
「綺麗事抜かしてんじゃねえぞ、パートの分際で! おが毎呑気にスーパーでレジ打ってられるのは、俺がすすって数字作ってきてるからだろ! なのに何だその目は! 夫を蔑むような目で見るんじゃねえよ!」