"「部屋はどこでも同じ」と1800万奪った息子の妻" 第8話
『……返せって言われても、ねえよ』
『あン!? 亮太、お、約束が違うだろ!』
『資材と職の料に全部消えたんだよ! 円も残ってねえよ! むしろ来週の決済であと百万りねえんだよ! 姉ちゃん、もうちょっと何とかなんないのかよ!?』
『あんた……!』
『がない奴からは取れねえよ! 破産申の準備してんだから、文句あんなら弁護士に言ってくれ!』
ガチャリと、無に通話が切れる音が響いた。
静寂が訪れた。 話の向こうで、美さんが激しくしゃくりあげて泣いている。 子さんが「亮太……どうするのよ亮太……」とうろたえる声。 そして、息子の、絶望に満ちたい沈黙。
すべてが、終わったのだ。
居は消えた。 百万円は見らぬ男の借返済に消え、度と戻らない。 族ごっこのメッキは剥がれ落ち、残されたのは沼のような現実だけだった。
「……母さん」
い沈黙の、息子が震える声で私の名を呼んだ。
「全部聞いたわ。勝なたちね」
私がややかに言うと、息子の呼吸が瞬止まった。 そして、信じられない言葉が、そのから滑りしてきたのだ。
「……母さん。頼む、助けてくれ」
声のトーンが変わっていた。 先ほどまでのりは消え、れっぽく、すがるような甘えた響きを帯びていた。 子どもの頃、何か悪さをして遣いを借りしようとするの、あの調子だった。
「助ける? 私が何を助けるの?」
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「デベロッパーの営業に座して頼んだらさ……今週に違約を清算して、もう度を用できるなら、別の棟のキャンセル戸を優先して回せるかもしれないって言われたんだ」
息子のから次々と溢れる言葉を、私はただややかに聞いていた。
「美もく反省してる。お義母さんも、悪気があったわけじゃないんだ。族を助けようとして焦っちゃっただけでさ……。な、母さん。母さんなら、まだ持ってるだろ?」
「……何を持っているっていうの?」
「父さんの命保険だよ。それから、父さんの退職の残りと、母さんのへそくり。まだに預けてあるだろ? ここからしてくれよ。百万……いや、百万でもいい! 今それがあれば、俺たちやり直せるんだ!」
喉の奥から、乾いた笑いが込みげてきそうになった。 りを通り越して、ただただ呆れ果てていた。
「健」
「うん、何? 母さん、いくらせる?」
「あんた、自分が何を言っているのか分かってるの?」
私の静かな声に、話の向こうの空気がわずかに張った。
「あんたたちは、私ののいが詰まったを売り払わせた。千百万円を奪い、私をリビングのいパイプベッドに寝かせた。畳の納戸に私の布団を押し込み、文句があるならてけと鳴りつけたわね」
「それは……あのは俺も仕事で疲れてて……!」
「私のもおも奪い取って、全部にしておいて……今度は残りの活費まで差しせと言うの? 私に、端で野垂れねと言うの?」
「そんなこと言ってないだろ! 俺たち族じゃないか!」
息子が逆したように声を荒らげた。
「今が俺たちので番変ななんだぞ!? 族が困ってるにをし惜しみして、あんたそれでも母親かよ! 俺がに迷ってもいいのか!?」
母親かよ。 その言葉が、私の胸に最の撃として突き刺さった。 だが、そこに痛みはなかった。 かつて息子に向けられていた母性という名の最の鎖が、音をててちぎれんだだけだった。
「健」
私は極めて落ち着いた、研ぎ澄まされた刃物のような声で言った。
「私がリビングのに寝かされていた。納戸に追いやられた。あんたは私のことを、度でも『族』だとってくれた?」
話の向こうが、息を呑むように静まり返った。
「あ……いや……それは……」
「っていなかったわよね。ただの都のいいづる、政婦代わりにしかっていなかった。都のいいだけ『族』という言葉を使わないで」
「母さん、待ってくれ! 頼むから! 美、ほら、おも謝れ!」
話の向こうで美さんが「お義母さん、ごめんなさい、私……」と取り繕う声が聞こえた。 だが、もうその声は何のも揺さぶらなかった。
「健。美さん。
言っておくけれど、居がなくなったからって、私のおがチャラになるわけじゃないのよ」
「……え?」
息子の怯えたような声が漏れる。