"「部屋はどこでも同じ」と1800万奪った息子の妻" 第4話
「何なんですか、さっきから! おをししたからって、偉そうに! 自分の息子夫婦を疑うんですか!?」
「疑うも何も、約束が守られていないから確認したいだけです」
「失礼ね! 私が棒だとでも言いたいわけ!? 健さん、お母さんをどうにかしてよ! 私、族のために懸命やってるのに、こんな侮辱受けるなんて耐えられない!」
美さんは顔を覆って泣き真似を始めた。 すると子さんが鬼の首を取ったようにちがり、私を指差した。
「さん! あんまりだわ! 娘がどれだけ健さんを支えてるとってるの!? たかがの軒売ったくらいできな顔して! 嫁いびりもいい加減にしなさいよ!」
の切り声が、狭いリビングに響き渡る。 私は健を見た。 助けを求めたのではない。この男が、自分の母親にどんな態度を取るのかを確かめるために。
息子は、いため息をついた。 そして、私に向かって、吐き捨てるように言ったのだ。
「……母さん、いい加減にしてくれよ。お義母さんので恥をかかせるなよ。たかが類のことだろ? なんでそんなに疑りいんだよ。族なんだから信じろよ」
「族?」
乾いた笑いが、喉から漏れそうになった。
「私をリビングのに寝かせて、部を奪い、おのき先もかさない。それが、あんたの言う『族』なの?」
「屁理屈を言うな!」
健が鳴った。
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テーブルをドンと叩く音が響いた。
「文句があるなら、てけばいいだろ! 誰のおかげで飯がえてるとってんだ! 俺たちが面倒見てやってるなんだぞ!」
面倒を見てやってる。 育てげ、を売り、全財産を差しした母親に向かって、息子はそう言い放ったのだ。
その瞬、私ので渦巻いていたりも、しみも、絶望も、すべてがすうっとえ切っていった。 嵐がったののように、恐ろしいほどの静寂が胸のに広がった。
「……そう。わかったわ」
私は静かに言った。 取り乱すことも、泣き叫ぶこともしなかった。 子さんと美さんは、私が気圧されたのだとったのだろう、勝ち誇ったような顔で見ろしていた。
私は自分ので歩き、納戸の奥から、ボストンバッグとさなキャリーケースを引きした。 荷物は、最初から解いてなどいなかったのだ。
押し入れの隅、私の私物を入れたさな提げ袋の底。 そこには、私が命の次に切にしてきたものが眠っていた。
んだの、産売買契約。 付と残代の細。 美さんの座へ千百万円を振り込んだ、の振込受取。 そして、健が以、私に送ってきたメッセージの画面を印刷した。
『母さんの千百万は居のにする。持分登記もちゃんと司法士に頼んで母さん名義を入れるから、してくれ』
文字として残された、息子の「約束」
。
それらをすべてバッグの底にしっかりと収め、ファスナーを閉めた。
「ちょっと、母さん、何やってんだよ」
息子の声に、私は振り返らなかった。 コートを羽織り、靴を履く。 玄関のドアノブにをかけた、背から子さんの嘲笑うような声が聞こえた。
「あらあら、のつもりかしら。いいをして恥ずかしい。どうせ親戚のにでも泣きついて、、で戻ってくるに決まってるわよ」
「放っておけよ」
息子の淡な声が続いた。
「やせば自分のがわかるだろ。鍵、置いていけよな」
私は無言で、渡されていた鍵を靴箱のに置いた。 カチャリと、属のたい音が響いた。
ドアをけ、にた。 夕暮れのたいが、照った頬を撫でた。 背で、乱暴にドアが閉まり、鍵が内側からかけられる音がした。
私は度も振り返らなかった。 キャリーケースの輪をアスファルトに響かせながら、駅へと向かった。
親戚のに泣きつく? 冗談ではない。 私はすでに、昨ベランダでの話を聞いた直、駅のウィークリーマンションをヶ分、元のわずかな予備費で予約していたのだ。
駅から徒歩分の、ワンルームマンション。 鍵をけてに入ると、え切った部にさなベッドと机だけが置かれていた。 だが、そこには誰の悪もなかった。
誰の顔を窺う必も、屈辱な言葉に耐える必もなかった。