みかん小説
本棚

"「部屋はどこでも同じ」と1800万奪った息子の妻" 第3話

その夜、私はもできなかった。 目を閉じると、守ってきたがの景が浮かんでは消えた。 夫とでペンキを塗り直したベランダ。 息子がだらけで帰ってきた玄関のたたき。 柱についた、息子の背丈を刻んださな傷。

あのはもうない。 私ので、産業者に引き渡してしまった。 そして元に残るはずだったおは、見ずらずのの借返済に消えようとしている。

翌朝、私は腫れた目を擦りながら、台所にった。 平静を装いながら、息子たちが起きしてくるのを待った。 追及しなければならない。 あの話は何だったのか。私のおはどうなっているのか。

だが、私の決を踏みにじるように、そのの昼がり、招かれざる客がやってきた。

「ごめんくださいな」

派なの匂いとともに玄関に入ってきたのは、美さんの母親、田子さんだった。 級そうな婦にを包み、にはデパートの袋を提げている。

「あら、お母さん、いらっしゃい」

美さんが満面の笑みで迎える。 子さんはリビングに入ってくるなり、部の隅に置かれた私の折りたたみベッドに目を留め、袈裟に顔をしかめた。

「まあ、美。何なのこの汚いベッドは。リビングのど真んにこんなものを広げて、みっともないじゃないの。

広告

だらしないわねえ」

私の背筋が、カッとくなった。

「子さん、ここは私の寝所です。居に移るまで、ここで寝るようにと言われているんです」

私が努めて穏やかな声でそう言うと、子さんは私をからまで値踏みするように眺め、フンとを鳴らした。

「ってますよ。でもね、さん。ここはお客様を通すリビングですよ? こんな活丸しのものを置かれたら、世体が悪くておちおちお茶もめやしないわ。片付けなさいよ」

「……片付けるって、どこにです」

「納戸があるでしょ、納戸が。昼は畳んであのに突っ込んでおけばいいのよ。しは周りの迷惑ってものを考えたらどうなんです?」

子さんはそう言うと、私の返事も待たずに、同然の勢いで私のベッドにづき、掛け布団を乱暴に引っ剥がした。 そして、具をガチャガチャと荒々しく操作して、ベッドを無理やりつ折りに畳み始めたのだ。

「やめてください!」

私が止めに入ろうとすると、美さんが割って入ってきた。

「ちょっと、お母さん! 母に乱暴しないでください! 母の言う通りですよ、リビングに布団を敷きっぱなしなんてみっともないです。気が利かないわね、本当に」

がかりで、私の粗末なベッドは狭い納戸の奥へ、掃除や段ボールの隙に押し込められた。 まるで、私のそのものをゴミ箱に投げ捨てるかのように。

私の震えるは、たく張っていた。

そのの夕方、健が仕事から帰ってきた。 子さんは息子の顔を見るなり、猫なで声をした。

「健さん、お疲れ様。居のマンション、楽しみねえ。私、向きの角部を使わせてもらえるって聞いて、本当に嬉しいわ。やっぱり頼りになるお婿さんを持つといわね」

息子はしのを伸ばし、得げに笑った。

「いえ、お義母さんにんでもらえれば何よりです。母さんも狭い部で納得してますから」

その言葉を聞いた瞬、私ので何かが完全に砕け散った。

「健」

私のく震える声に、息子は鬱陶しそうに振り返った。

「なんだよ、母さん。今、お義母さんと話してるんだからにしてくれよ」

「にはできないわ。……居の売買契約を見せてちょうだい」

リビングの空気が、ピシリと凍りついた。 美さんの笑顔が、瞬で引きつるのを私は見逃さなかった。

「……は? 契約?」

息子が眉を寄せる。

「そうよ。私がした千百万円の登記はどうなってるの? 司法士にはいつ会わせてくれるの? それから、契約の捗状況を今すぐ類で見せて」

「何言ってんだよ、急に。そんなの美に任せてあるに決まってるだろ」

「美さんに任せてあるから聞いてるのよ」

私は美さんをまっすぐに見据えた。 美さんの顔から血の気が引いていくのがわかった。

しかし、次の瞬、彼女は逆したように切り声をげたのだ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: