"「部屋はどこでも同じ」と1800万奪った息子の妻" 第2話
洗っていた茶碗が、から滑り落ちそうになった。 陶器がシンクにぶつかり、ガチャンと甲い音をてた。
「……え?」
私の喉の奥から、乾いた声が漏れた。
「どういうこと、美さん。あそこは、私の部になる約束だったはずでしょう?」
美さんは眉をひそめ、あからさまに嫌そうな顔をした。
「約束って……そんなげさな。うちの母も暮らしで腰がってるんです。健さんとも相談して、広い部は母に使ってもらおうって決めたんですよ」
「じゃあ……私の部は?」
臓が鐘を打っていた。 胸の奥がきりきりと痛む。 美さんはふんとさくを鳴らし、こともなげに言い放った。
「お母さん、もうおなんだから、部なんてどこでも同じでしょ? 納戸の隣のサービスルーム、畳ちょっとありますから、寝るだけなら分じゃないですか。贅沢言わないでください」
どこでも同じ。 私がを売り、千百万円をしたというのに。 納戸のような畳の部に押し込められるというのか。
私はリビングのソファで聞を広げていた息子にすがりついた。
「健、あんた聞いてるの? 話が違うじゃない! 私の部をちゃんと用するって言ったでしょう!」
息子の線は、聞かられなかった。 わずかに苛ったように眉を寄せ、乱暴にページをめくった。
「母さん、朝から騒ぐなよ。
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美のお母さんだって変なんだからさ。どこで寝たって根があるだけありがたいとえよ。今はしてくれ。引っ越してからまた考えればいいだろ」
を疑った。 どこで寝たって根があるだけありがたい、だと? その根を買うためのを、誰がしたとっているのか。
「健、あんた……!」
「ああもう、うるさいな! 会社に遅れるだろ!」
息子はちがり、私を押しのけるようにして洗面所へ向かった。 取り残された私の目ので、美さんはややかに角をげていた。
そのの夜、さらなる悪が私のにび込んできた。
夜の過ぎ。 いパイプベッドのせいで腰が痛み、私は目を覚ました。 をもうと音をてずに起きがり、暗い廊をキッチンへ向かって歩いていただった。
ベランダへ通じるガラス戸の隙から、細い声が漏れていた。 美さんだった。 のカーディガンを羽織り、スマートフォンの画面に顔を照らされながら、誰かと通話していた。
「……うん、丈夫。ばあさんの千百万、全額こっちの座に着したから」
私のが、に縫い付けられたように止まった。 呼吸が止まる。 臓の鼓だけが、元でドクドクと気に響いていた。
「……だから配しないでってば、お母さん。亮太の会社の借、これでなんとかなるでしょ? ……うん、健さんには内緒にしてあるから。
あいつ、おのことなんて私に任せっきりで何も見てないし。あの能気な男、居ができるって信じ切ってるわよ」
たいが、のてっぺんから爪先まで気に流れ落ちたようだった。 喉がカラカラに渇き、指先がカタカタと震えした。
……ばあさん? ……亮太の会社の借?
美さんの弟の亮太さんは、確かさな内装会社をやっていたはずだ。 その借に、私のおを使ったというのか? どういうことだ。あの千百万円は、築マンションのとして振り込んだはずなのに。
美さんはくすくすとく笑いながら、話の向こうの相――おそらく母親の子さんに向かって続けた。
「とりあえず百万、亮太の会社の座に回したから。残りはこっちでうまくやりくりする。居の引き渡し? どうにかなるわよ。ばあさんには適当に話をわせておけばいいんだから。あの、もうも売っちゃってきがないんだから、文句言えるじゃないでしょ」
ツーツーと通話が切れる子音が、静まり返ったリビングにさく響いた。
私は暗ので息を殺し、壁に爪をてていた。 歯がガチガチと音をてて鳴りそうになるのを、唇を血がるほどく噛んで耐えた。
騙されていた。 最初から、同居などする気はなかったのだ。 私の老ののためでも、族入らずで暮らすためでもない。
ただ、私を丸裸にして、そのを奪い取るためだけに、甘い言葉を囁いていたのだ。