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"産後5日の病室で、娘を奪う義母が夫を殴りつけた" 第11話

吐きした息が、く濁った。 まず、第の罠を塞いだ。

次に向かったのは、区役所から目との先にある警察署の活全課だった。

当直の女性警察官は、私が提示した証拠の数々に、顔を険しく変えていった。 夫が養子斡旋を装って作成した偽造の承諾。 300万円の付が振り込まれた座の細コピー。 そして、先ほど夫から送られてきた『無戸籍にしてやる』『実印を使って勝に婚届をす』という脅迫めいたLINEの文面。

「……帝王切目で、この状況ですか」

警察官の声に、りが滲んでいた。

「完全にDV事案、および私文偽造、未成者略取の予備為として記録を残します。配偶者暴力相談支援センターとも直ちに報を共しますね。この記録がある限り、夫側が『妻が育児放棄をして子供を連れった』と主張しても、公関には切通用しません」

『警察相談等処理票』の控えが、私の元に渡された。 公な関に、私が「保護されるべき正当な母親」であり、夫が「危険な加害者」であるというかぬ事実が刻まれた瞬だった。

病院に戻ったのは、夜零を回った頃だった。 え切った指先で産ケア棟の個ドアをけたとき、私の体力は限界を迎え、ベッドに倒れ込むように横たわった。

これで、は打った。 制度の壁は築いた。

だが、あの母子がこの程度で引きがるはずがない。

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本当の獄は、ここからいがってくるのだと、私の本能が警鐘を鳴らし続けていた。

翌の夜。

コン、コン。

静まり返った個のドアを、慮がちに叩く音がした。 ノックの主は、助産師ではない。 病院のスタッフなら、入に必ずインターホンを鳴らし、名を名乗るはずだ。

背筋に、氷を滑り込ませたような戦慄がった。 ベッドからを起こし、息を殺してドアを見つめる。

「……由紀さん。由紀さん、お願い、けてちょうだい……」

ドア越しに漏れ聞こえてきたのは、掠れた、泣きじゃくるような女の声だった。

義母だった。

なぜ、ここが分かったのか。 部者ち入り禁止のはずの産ケア棟に、どうやって紛れ込んだのか。 清掃業者の入りから忍び込んだのか、それとも受付の隙を突いたのか。

「けて……お願いだから。頼むから声をさないで……」

私は無言のまま、サイドテーブルのナースコールに指をかけた。 ボタンを押し込めば、数秒で警備員が駆けつける。 だが、ドアの向こうから聞こえてきた次の言葉に、私の指が止まった。

「健太が……健太がんじゃうのよ……!」

ガチャリと、ドアノブが側からさく回された。 もちろん内鍵はかかっている。

私はたいに素をろし、点滴スタンドを握りしめながら、ゆっくりとドアにづいた。 スコープを覗き込む。

そこにいたのは、昨まで級なを着て、私をゴミのように見ろしていたあの傲な義母ではなかった。 髪はボサボサに乱れ、化粧は涙と皮脂でドロドロに崩れ落ちている。 着ていたカーディガンはボタンが掛け違えられ、何かに怯えるように刻みに震えていた。

私はチェーンをかけたまま、ドアをわずか数センチだけけた。

「……何の用ですか」

隙からたい線を投げかけると、義母はハッと息を呑み、ドアの隙に縋りつくように両を突っ込んできた。

「由紀さん! よかった、会えた……!」

「警察を呼びます。今すぐここからていってください」

「待って、お願い待って!! 話を聞いてちょうだい!」

義母は突っ込んだ指が挟まれるのも構わず、必にドアにしがみついた。 その目には、狂気にも似た焦燥が張り付いている。

「健太が……のたちに連れてかれそうなのよ! 自宅の周りにずっと黒いが止まってて、ドアをドンドン叩かれて……! の朝までに300万をを揃えて返さないと、本当に実のもも競売にかけられちゃうの!」

「自業自得です。私には関係ありません」

「関係ないなんて言わないで! 健太はあんたの夫でしょう!? あの子が逮捕されたら、会社もクビになって、借だけが残るのよ! あんたたち親子の将来だってめちゃくちゃになるのよ!?」

「私の将来をめちゃくちゃにしようとしたのは、あなたたちです」

たく言い放つと、義母の顔が瞬歪んだ。

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