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"産後5日の病室で、娘を奪う義母が夫を殴りつけた" 第2話

「絶対に渡しません……! 私の娘です! 連れていくなら、警察を呼びます!」

私の必の剣幕に、義母は瞬怯んだように眉をねげた。 だが、すぐにその表は醜い嘲笑へと変わった。

「警察? 笑わせないでよ。親権を持つ父親とその母親が孫を引き取るだけの話よ。産でがおかしくなった女が騒いでるって、向こうだって相にするわけないじゃない」

義母はそう言い捨てると、くるりと踵を返した。

「いいわ。病院のにに入ってもらいましょう。あんたがどれだけ母親として失格か、護師さんたちに客観に判断してもらえばいいのよ」

「待って……お義母さん、やめて!」

私の制止も聞かず、義母は勢いよく病のドアをけ放ち、廊へとびしていった。

バタバタという慌ただしい音が、静かな産科病棟の廊に響き渡る。

「護師さん! 護師さんはいらっしゃらないの!?」

ナースステーションので、義母の切り声が炸裂した。 の病から、赤ん坊を抱いた母親や見い客が驚いたように顔を覗かせている。 本の病院において、これほど周囲の迷惑を顧みない声をすなど、異常事態でしかなかった。

「どうされましたか? の患者様のご迷惑になりますので、お静かに……」

慌てて駆け寄ってきたベテランの助産師に向かって、義母は両を広げ、げさに振りを交えながら訴え始めた。

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「うちの嫁がね、産の緒定で錯乱しているんです! 赤ちゃんを抱かせようとしてもヒステリーを起こして、私や息子を棒扱いするのよ! 帝王切の処置が悪かったのか、精神に限界みたいで……このままじゃ赤ちゃんの命が危ないわ!」

々しい嘘が、淀みなくから吐きされていく。 廊に集まった々の線が、痛む腹を押さえながら壁伝いに病からてきた私へと突き刺さる。

(何言ってるの……? 違う、違うのに……!)

弁しようとしても、呼吸が浅くなって喉から声がない。 腹部の傷が脈打つたびに、目のがチカチカとく滅した。

ふと見ると、病のにつ健太は、義母の騒ぎを止めるどころか、青ざめた顔で自分のスマートフォンを何度も確認していた。 指先が微かに震えている。 母が嫁を追いそうと騒ぎしている現で、なぜスマートフォンの画面ばかり気にしているのか。 誰かと連絡を取っている? なぜ、今?

「健太、あんたからも言いなさいよ!」

義母に促され、健太はビクッと肩をねさせた。 そして、駆け寄ってきた護師たちに向かって、絞りすような声で言った。

「あ……ああ。妻は、ちょっと精神に参っていて……。退院は、俺の実で赤ん坊を育てることになってるんです。だから、子供は俺たちが連れて帰ります」

「そんな約束、度もしていません!」

私は壁に爪をてながら、廊に響く声で叫んだ。

「このたちは、私から子供を奪って追いそうとしているんです! 母子帳も、私のバッグに入っています! 届もまだしていません! 渡すわけがありません!」

「ほら見なさい! こうやってすぐ興奮して声をすのよ!」

義母が勝ち誇ったように助産師のを掴む。

「この子をこんな母親の元に置いておけません! 健太、病からコットごと赤ちゃんをしなさい! に積むわよ!」

「ちょ、ちょっと待ってください! ご族のお話しいは別で……赤ちゃんを勝に移させることはできません!」

助産師たちが慌てて健太のくを遮ろうとした、そのだった。

エレベーターホールの方向から、カツカツと落ち着いた、だが違いにった音がづいてきた。

産科病棟の自ドアをくぐって現れたのは、見らぬ男女だった。 齢は40代半くらいだろうか。 男性は仕ての良いチャコールグレーのコートを着て、にはビジネス用の革製ブリーフケースを持っている。 隣の女性は、質なアイボリーのニットにを包み、腕には真しいパステルカラーのベビーキャリーを切そうに抱えていた。

親族の面会にしては、雰囲気がすぎる。 何より、の表は酷く緊張し、女性の目元は泣きかしたのように赤く腫れていた。

見らぬ夫婦は、廊で揉みっている私たちを瞥し、そして—— 夫である健太の姿を捉えた瞬、女性の顔にパッと堵のが差した。

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