"産後5日の病室で、娘を奪う義母が夫を殴りつけた" 第1話
帝王切の傷が、皮膚ので引きつるようにズキズキと痛んでいた。
術5目の朝。 点滴の針はに抜けたものの、ベッドからちがるたびに腹部へ鉛を流し込まれたようない痛みがる。
私は病のさなパイプ子に浅く腰掛け、ボストンバッグに娘のさな産着を詰めていた。 とのガーゼ、退院用のいベビードレス、搾乳器、そして母子健康帳。 透なアクリルのコットのでは、まれたばかりの娘がさな唇をもごもごさせながら眠っている。
ガチャリと、病の引き戸がノックもなしにいた。
入ってきたのは、義母だった。 そのろから、夫の健太が所なさそうに線を泳がせながら続いて入ってくる。
「準備、できたかしら」
義母は番、労いの言葉ひとつなくそう言い放った。 には何も持っていない。 孫の誕を祝う束も、お祝いの品もそこにはなかった。
「お義母さん、健太さん……おはようございます。ちょうど今、荷物をまとめているところで……」
痛む腹部をで押さえながらちがろうとすると、義母は靴音を響かせてベッド脇までズカズカと踏み込んできた。 そして、私の元にあるボストンバッグを瞥し、ややかに角をげた。
「退院の続きは、健太に全部済ませてあるわ」
「えっ……あ、ありがとうございます。
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助かります」
「お礼なんていいのよ。それより、話があるの」
義母は腕を組み、私をからまで値踏みするように見ろした。 その瞳には、親族としての温もりなど欠片も宿っていなかった。
「あんたはそのまま、つで実に帰りなさい」
……は? 言葉のが、すぐには脳に届かなかった。
「え……?」
「聞こえなかった? この子はうちで育てるわ。あんたはもう、このには必ないのよ。実にでも帰って、でゆっくり体を休めなさいって言ってるの」
の奥で、キーンという甲い属音が鳴り響いた。 臓が嫌なね方をして、喉の奥が瞬でカラカラに渇いていく。
「な、何を言っているんですか……? 私が、実に……? 娘を置いていくわけないじゃないですか」
「置いていくんじゃないわよ。私たちが引き取るの。だいたいね、あんたみたいな領の悪い女に、この子が育てられるわけないでしょう。帝王切で腹を切ったくらいでいつまでも痛がって、母乳のも悪い。そんな調子で育児ノイローゼにでもなられたら、息子のまといになるだけなのよ」
全の血が、音をてて逆流していくような覚に襲われた。 確かに私は緊急帝王切になり、産の回復が遅れていた。母乳もまだ滲む程度しかず、助産師さんにマッサージをしてもらいながら必に授乳の練習をしていたところだった。
でも、それが母親を失格とされる理由になるはずがない。
私はたまらず、義母のろに突っっている夫を見た。
「健太さん……! ちょっと、健太さんからも何か言ってよ。お義母さん、冗談を言ってるんだよね……?」
健太は私の顔を見ようとしなかった。 両をスラックスのポケットに突っ込み、所なさそうに貧乏ゆすりをしている。 額には脂汗が滲み、しきりに病の壁掛け計を気にしていた。
「健太さん!」
私が声を絞りすと、夫はようやく面倒くさそうに線をこちらへ向けた。 だが、その目は私の顔を通り越して、虚空を見つめていた。
「……母さんの言う通りだよ」
「え……?」
「お、ずっと調子悪そうだしさ。実で療養した方がいいだろ。子供のことは、うちで責任持つから」
乾いた、の籠もっていない声だった。 まるで、あらかじめ用された台を棒読みしているような自然さ。
「どうして……? 私たちが、望んで産んだ子だよ? 私たちの子供なんだよ……!?」
「だから、うちの跡取りとして育てるって言ってんのよ! グズグズ言わないでさっさとバッグを持ってていきなさい!」
義母が声を荒らげ、アクリルコットにを伸ばした。 その爪の先が、おくるみに触れようとする。
「触らないで!」
私は叫んでいた。 腹部を引き裂くような激痛がったが、なりふり構わずコットの縁に両でしがみついた。
指先がくなるほどく、プラスチックのフレームを握りしめる。