"私のカードを盗んだ義母が、夫の隠し口座で120万円使った" 第5話
そのゴツゴツした両が、呆れるほどの際の良さで私の黒いトートバッグのファスナーをスッとけます。
お義母さんは昨盗んだ緑のカードをバッグの奥へ滑り込ませると、代わりに内ポケットの1番側に刺さっていた黒いカードを、2本の指で1枚サッと抜き取りました。
そして周囲をチラリと見てから、抜き取ったばかりの黒いカードを自分の着のポケットに素くねじ込んだのです。
お義母さんは焦っていたせいか、抜き取ったカードのなどわざわざ確認すらしていませんでした。
私のバッグのそのポケットには、普段使っているカードが入っているとい込んでいたのですから。
洗面所に響く激しいの音が、お義母さんがトートバッグのファスナーを閉めるかすかな属音を完璧にかき消してくれました。
私はのでややかに微笑みながら蛇を閉め、あらかじめべやすく切っておいたリンゴのお皿を持ってリビングへとていきました。
しかしその、お義母さんはすでに玄関のたたきにち、靴を履き終えているところでした。
お義母さんはリンゴの皿を持つ私を瞥もせず、ドアノブにをかけながらたく言い放ちました。
「私はべないよ。く帰って荷造りの続きをしなきゃいけないんだ。
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の朝ので沖縄へ発つからね」
お義母さんはそこで言葉を切ると、私をジロリと睨みつけて吐き捨てました。
「それにしても、あんたって嫁は本当に気が利かないね。姑が楽しみにしていた旅にくっていうのに、お遣いの封筒の1つも用しようとしないんだから。全く、親の顔が見てみたいよ。どんなしつけを受けて育ってきたんだか」
私はに持っていた果物のお皿をダイニングテーブルのに静かに置き、玄関のお義母さんに向かって丁寧にをげました。
「お義母様、どうぞお気をつけていってらっしゃいませ」
返事の代わりに、バタンと錆びたドアが激しく閉まる音がアパートに響き渡りました。
そのの夜、遅いになってから、お酒の匂いをプンプンさせて夫の博之が帰ってきました。
博之は玄関からリビングへ入ってくるなり、着ていたスーツのジャケットを乱暴に脱ぎ、ソファのにポイッと投げ捨てました。
そして首元のネクタイを荒々しく緩めながら、ダイニングテーブルの子のにどっかりと座り込みました。
博之はテーブルに並べられた夕を見ると、無言でスプーンをに取り、お椀に盛られたお噌汁をガチャガチャとかき混ぜました。
1すすった瞬、博之は激しく眉にシワを寄せ、持っていたスプーンをお椀のにカチャッと音をてて投げ入れました。
「なんだよこれ。なんでこんなにしょっぱいんだ、めたもんじゃないぞ」
私はキッチンから運んできたもやしのえ物が盛られたお皿を、嫌な博之のにそっと差ししました。
そして申し訳なさそうに線を落とし、穏やかな声で謝りました。
「ごめんなさい。付けの、しが滑ってお噌がかったみたいです。次からは気をつけますね」
博之は満そうにを鳴らすと、箸を取ってもやしのえ物を1つまんでに入れました。
2回、3回と乱暴に噛み砕いてみ込むと、博之は向かいに座る私の顔をじっと見つめました。
そして、いしたように箸の先でテーブルをトントンと軽く叩きながら切りしました。
「ああ、そうだ絵里。来の活費のことなんだけどさ、おがもうし、あと5万円ほどめにしてくれないか」
私はを止め、博之の顔をまっすぐに見返しました。
博之は私の線から逃げることもなく、もっともらしい顔つきで言い訳を並べてました。
「会社の営業部にさ、今度、入社員がどっと入ってきたんだよ。先輩としてのメンツもあるし、輩のであまりケチケチするわけにもいかないだろう。先週のみ会のも、周りの目が気になって怖くて財布もけなかったんだ。おまけに来引っ越したら、マンションの管理費だってがるだろうしな。
おのその融通の利かない公務員の料で、なんとかうまくやり繰りして節約してみてくれよ」