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"26年尽くした家を出る私を、車椅子の娘は無表情で見送った" 第4話

林さんという方です」

芽ちゃん。 彩が数、子の当事者が集まる域のアートワークショップでりった同代の友だ。 たまに連絡を取りっているのはっていたが、なぜ彼女とここに?

「ご主は同席されていませんでした。そして、彩さんご本のい希望で、こちらの続きをめられたんです」

坂井さんが机のに滑らせてきたのは、見慣れない式の申請だった。 部に太いゴシック体で印字されたタイトルが、私の目にび込んでくる。

『自活訓練(ステップハウス)利用申請』

「……じりつ、せいかつ……?」

声が、掠れて消えそうになった。

「はい。将来に親元をれて単活を目指す障害者の方のために、最、バリアフリーのアパートでヘルパーを利用しながら暮らしの訓練をう公なプログラムです。数ヶから、彩さんご自が何度も窓へ相談に来られていて、準備をめていたんですよ」

「数ヶから……?」

言葉のが、ので処理できない。 彩が? 暮らし? あの子が、私なしで? の元だって危ないし、夜に震が起きたらで避難もできないのに?

「そんなの、無理です! あの子の体の麻痺を、坂井さんもごでしょう! 移乗だってまだ定だし、褥瘡の予防管理だって私が毎声をかけていたんです! 暮らしなんて、絶対に……!」

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取り乱した私の声に、隣のブースの相談者がちらりとこちらを振り向いた。 坂井さんは静かに両を膝のに置き、私を制するようにさく息を吐いた。

「宮本さん、落ち着いてください。利用の否は専の判定会議で決められます。ですが、彩さんの志は非常に固いものでした。……それと、こちらをご覧ください」

坂井さんが指差したのは、申請の最部にある記入欄だった。

『緊急連絡先・元引受』

そこには、几帳面な役所の窓用ボールペンの文字で、あらかじめ私の名が印字されていた。

【母:宮本真理子】

だが、その文字のには。

定規を使ったかのように真っ直ぐな、しかし憎悪すらじさせるほどい圧の黒い線が、本、乱暴に引かれていた。 の繊維がめり込むほどく、抉るように引かれた抹消線。

そして、そのすぐの余に、彩自の角ばった跡で、しくき殴られていた。

【友:林芽】

「……」

喉の奥から、乾いたヒューヒューという呼吸音が漏れた。 指先が、氷のようにたくなっていく。

父親を選んだんじゃなかった。

父親の元に残ったのは、父親をしているからでも、頼りにしているからでもなかった。 私を、あのから確実に追いすため。 私がに居座り続ければ、絶対にこの申請を許さないとっていたから。

私から逃げるために、娘は父親を利用したのだ。

。 私が捧げてきたのすべては、娘にとって、抹消線で塗り潰さなければならないほどの『檻』だったというのか。

窓のアクリル板に映る私の顔は、のように青ざめていた。

区役所をたの記憶が、ほとんどない。

どうやってに乗り、どうやってあのえ切ったアパートの畳に戻ってきたのか。 気がついたときには、コートも脱がずに畳のでち尽くしていた。

網膜の裏に、あの黒い線が焼き付いてれない。

【母:宮本真理子】

定規を当てて、が破れるほどく引かれた本の抹消線。 そして、そのに震えることなくき殴られた、娘自の文字。

【友:林芽】

「……っ」

胃の奥から、酸っぱいものが競りがってきた。 で元を押さえ、そのに膝をつく。

。 彩がをして歩けなくなった歳のあのから、私ののすべてはあの子のものだった。 学の送り迎え、階段のりり、リハビリの予約、子のメンテナンス、毎晩の清拭。 ママ友たちがランチやお稽古事に興じている、私は常に彩の子を押していた。 私の背は、いつだって娘を守るための盾だったはずだ。

それなのに。 あの子にとって、私は何だったのか。 守ってくれる母親ではなく、ただの邪魔をする『障害物』だったというのか。

そのの夕方、所のスーパーへ材を買いにかけたときだった。

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