"15年育てた妹の結婚式で、父に親族席から外された" 第10話
父の顔が微かに引き攣る。
「お父さんが親戚に嘘をついて、自分だけの体面を守っていた、私は度だってお父さんを親戚のに引きずりして責めたりしなかった。が父親を憎むような子になってほしくなかったから。お父さんが送ってくれたわずかな活費にも、毎回『お父さんから預かったよ』ってに伝えていた」
私はく息を吸い、父の目をじっと見据えた。
「でも、それはお父さんのためじゃない。のためだった。ののに、しでも父親への温かいいを残してあげたかったから。それを、お父さん自が全部踏みにじったんです」
「真紀……お、親に向かって……」
「失礼します」
静かなノブの音とともに、もうの物が部に入ってきた。 タキシードのジャケットを脱ぎ、きちんとしたシャツ姿の悠さんだった。 悠さんは私と父に軽く会釈をすると、支配の隣へみた。
「お義父さん。お話し、すみません」
悠さんの声はどこまでも穏やかだったが、その瞳の奥には確固たる決が宿っていた。
「式の方からお聞きしました。お義父さんがご負担いただく予定だった披宴の援助、万円のことですね」
父は悠さんの登に瞬気圧されたようだったが、すぐに気な態度を取り繕った。
「そうだ、君。
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君も公務員なら話がいだろう。こんな礼儀もわきまえん姉妹に、俺がをす筋いはない。今すぐこのから返させてもらいたい」
悠さんは、ポケットから枚の控えを取りし、テーブルのに置いた。
「先ほど、僕個のクレジットカードで、披宴の全額の精算を完させました。お義父さんから事に式へ振り込まれていた万円については、式の規定に基づき、来週曜にご指定の座へ全額そのまま返続きが取られます」
父の眉がねがった。
「な……全額だと?」
「はい。ですから、式側にこれ以の求をされる理由はありません。また、お義父さんからのご祝儀やお祝いの品も、すべてお返しします。僕たちの活と、これからのに必なものは、僕たちので用しますから」
悠さんはく、丁寧にをげた。 そこには片の侮蔑も、皮肉もなかった。だからこそ、その礼儀正しさは、父が持つ『父親としての威』を根本から無力化していた。
おで相を縛ることも、父親というで脅すことも、もう度と通用しない。 父の目のにあるのは、自分の虚勢が完全に通用しなくなった、徹で確かな現実だけだった。
「……勝にしろ」
父は掠れた声で吐き捨てると、脱ぎ捨てていた着を乱暴に引っ張りげた。
「悔するなよ。俺というろ盾を失って、で苦労しても、度と俺の敷居は跨がせんからな」
その言葉に、悠さんは何も答えず、ただ静かに礼した。 私も、言葉を返さなかった。 もはや、父にかける言葉は何つ残っていなかった。
父は度も私たちを振り返ることなく、応接の扉をけ、でちっていった。 廊に響くい靴音が、エレベーターのホールへと吸い込まれ、やがて完全に消えった。
支配が々とをげた。
「様、お姉様……ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでした」
「いいえ、支配さん。こちらこそ、私どもの事でお騒がせしてすみませんでした」 悠さんが微笑みながら応じ、私を振り返った。 「真紀さん、きましょう。ちゃんが、写真撮の所で待っています」
「……はい」
応接をた、窓のから差し込む午のが、廊の絨毯を柔らかく照らしていた。 胸のを支配していた鉛のようなみが、跡形もなく消え失せていた。
披宴会のにあるアトリウムで、親族の集写真の撮が始まろうとしていた。
カメラマンが脚のから指示をし、の親族と、静岡の伯父たち婦側の親族が、ひな壇のように並んだ子とち位置に腰掛けている。 その央に、ピンクのカラードレスにお直しを済ませたと、タキシードをえた悠さんが並んでいた。
の表は、先ほど控で泣き腫らしていたとはえないほど、れやかで落ち着いていた。