"「ママって呼んじゃだめ」そう泣いた五歳の娘" 第5話
だが今や、これは健吾が族を欺き、娘を都よく利用したかぬ証拠だった。
私はその画面をスクリーンショットで保した。
さらに、過のメッセージアプリの履歴を遡った。
『園内で邪が流ってるから、今の参観は止だってさ』
に健吾から送られてきたその文面も、確実に保した。
そして、健吾がを連れしていた週末のを、帳のカレンダーと突きわせながらメモ帳にきしていく。パンケーキの、滑り台のきな公園。クレジットカードの細を確認すれば、健吾がどこでを使い、何をしていたのかもさらに特定できるはずだ。
淡々と作業をめていると、玄関のドアノブがガチャリと音をてた。
乱暴に鍵をける音。
健吾が帰ってきたのだ。
リビングの引き戸が勢いよくき、苛ちを隠そうともしない夫が姿を現した。
「おい、美咲。さっきはよくもあんな真似をしてくれたな」
健吾はネクタイを乱暴に緩めながら、私を睨みつけた。
「莉奈は泣いて帰ったぞ。おが急に乗り込んできてあんな態度取るから、俺のメンツは丸潰れだ。体、たかが参観に誰を連れてこうが俺の勝だろ。親族枠でちゃんと通したんだから、園の規則にも問題ないはずだ」
番、自分のメンツとの配。
眠っている娘がいることすら目に入っていないその姿に、私は底からの軽蔑を覚えた。
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私はソファののを瞥し、差し指を唇に当ててから、ややかに健吾を見据えた。
「が寝てる。声をすなら、にて」
健吾は気圧されたようにを噤んだが、なおも忌々しそうに眉をひそめた。
「……げさに騒ぎてるなと言ってるんだ。俺は単に、おが仕事で忙しいから、代わりに莉奈に伝ってもらっただけだ。頃からおがのことやのことを完璧にできてれば、俺だってこんなことしなかった」
「伝い?」
私はテーブルののウサギのマスコットを指先で弾き、健吾の目のへ滑らせた。
コトン、とさな音が響く。
健吾の目がマスコットに留まり、その表が瞬で張った。
「これ、何?」
「……それは」
「がリュックの奥に隠してた。あなたが『ママに見つかったらママが泣くから隠しておけ』って命令したから」
健吾の喉仏が、きくした。
「に何を喋らせたんだよ……あいつはまだ歳だぞ。子どもの言うことを真に受けてどうする」
「子どもの言うこと?」
私は静かにちがり、健吾の真正面にった。
「はね、自分がママって呼んだらお姉さんが泣いちゃうからって、必にして謝ってきたのよ。自分の母親を母親と呼ぶことすら怯えるように仕向けておいて、よくそんな台が吐けるわね」
私のく研ぎ澄まされた声に、健吾は歩ずさった。
「健吾。さんにも話を聞いたわ。あなた、彼女に何て言ってたの? 『夫婦関係は破綻していて、妻も公認で、いずれと会わせることを承諾している』ですって?」
健吾の顔から、急速に血の気が引いていった。
「それは……そのの、話の流れで……」
「私に嘘をついて参観から排除し、彼女には私を悪者にして嘘をつき、歳の娘に止めをして盾にした」
私は歩、健吾に詰め寄った。
「あなたが今やったことは、ただの浮気じゃない。自分の都と保のために、娘のを壊そうとしたのよ」
「壊すなんて……そんなつもりはなかった! 俺はただ、莉奈とうまくやっていくために、とも仲良くなってほしかっただけで――」
「それが、子どものを壊しているって言ってるの!」
私の鋭いに、健吾はびくりと肩をねさせた。
ソファのでがじろぎをし、さくを縮めた。私はすぐに息をえ、声を落とした。だが、その瞳から切の温度を消した。
「もういいわ。あなたの言い訳は言も聞きたくない」
「美咲……待てよ。悪かったって。俺が軽率だったのは認めるから――」
「謝る相が違うでしょう」
私はテーブルののスマホを指差した。
「今、幼稚園で起きたこと。あなたがにしてきたこと。全部記録に残してある。幼稚園側にも、田辺先から園に事を伝えてもらっているわ」
健吾の目が、焦りと恐怖で見かれた。