"「お父さんの同僚ですか?」と、夫の娘は微笑んだ" 第10話
「今、弁護士の先の事務所をたところよ」
『……は? 弁護士……?』
「ええ。これからのことは、すべて弁護士を通して話しいましょう。退職の分与、マンションの処分、そしてこれまでのこと。あなたが勝に処分できるおは、もう円もないわ」
『な……何を言ってるんだ! 夫婦の問題だろうが! なんで赤のを巻き込むんだ! 美紀、戻ってこい! でちゃんと話しおう! 俺が悪かったって謝ってるじゃないか!』
「話しいなら、昨夜分にしたわ」
私は言った。
「あなたは私を傷つけたくなかったんじゃなくて、逃げ切りたかっただけ。その答えを、あなたが今朝、私の部を漁ったことで証してくれたのよ」
私は夫の喚き声を遮るように、通話終の赤いボタンをく押した。
画面が暗くなり、男の勝な叫び声は完全に消えった。
空を見げると、抜けるような青空が広がっていた。
、この空ので、私はずっと誰かの妻として、誰かの都にわせてきてきた。
だが、もう違う。
私は自分ので歩き、自分ので選び、自分の責任できていく。
修という男が張り巡らせたの嘘の結末を、私は最まで、この目で見届けるつもりだった。
弁護士からの受任通が自宅と夫の携帯に届いたのは、そのの夕方のことだった。
私が駅のビジネスホテルに宿を取り、必最限の着替えを買い揃えて部に入った直、杉弁護士から「ご主に通が到達しました。
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今の連絡はすべて当事務所宛てにするよう通告してあります」というい連絡が入った。 私のスマートフォンは、それからほどのに回以震えたが、すべて修からの着信だった。私は度も画面に触れず、着信音を消音にしてベッドのサイドテーブルに伏せた。
、杉弁護士の事務所の面談で、私は修と再び顔をわせた。 たったのに、夫の姿は驚くほど老け込んでいた。無精髭が顎の周りに伸び、いつも几帳面に糊の利いていたワイシャツの襟元はくしゃくしゃに波打っていた。商社の営業管理職として、常にを値踏みするように背筋を伸ばしていた男の面は、どこにも残っていなかった。
「美紀……頼むから、度に帰ってきてくれ」 面談の子に座るなり、修は杉弁護士のを無するようにを乗りしてきた。 「弁護士なんててて、ごとにすることはないだろう。俺たちがかけて築いてきた庭なんだぞ。静になって話しえば、やり直すだって……」
「藤原修さん」 杉弁護士が、静かだが遮る余のないい声で制止した。 「論は控えてください。本は奥様のご向をお伝えし、法な続きの確認をうために同席していただいています。すでに通した通り、奥様は婚姻関係の継続を断固として拒絶されています。
婚姻期のうち、にわたる婚内縁関係および子の認というな破綻事由がする以、裁判になれば百パーセント婚が認められます」
「婚内縁なんて……そんな仰々しいものじゃない!」 修は顔を潮させ、机を拳で叩いた。 「俺はあっちに籍を入れたわけじゃない! 奈緒の認だって、親としての責任を果たしただけだ! なんで、真面目に会社に勤めげて族を養ってきた俺が、こんな犯罪者みたいに扱われなきゃいけないんだ!」
「養ってきた?」 私は、夫の目をまっすぐに見据えてをいた。 その声の静けさに、修の言葉が喉元でつまった。
「修さん。あなたが会社に勤めていた、私はあなたの健康を管理し、のすべての雑事を引き受け、りない活費を補うためにパートにていたのよ。あなたが静岡のもうつの庭で父親を演じている、私はで京のを守っていた。それを『養ってきた』の言で片付けるつもり?」
「それは……おには自由させないように、活費だって毎渡していただろう」
「その活費の半分は、私のパート代と、私の切り詰めた活のに成りっていたのよ」 私はデスクのに枚の類を置いた。杉弁護士が作成した、過の座履歴と資産覧の控えだった。