"三人だけの家族写真と、消された私" 第10話
胸の奥のたい炎が、静かに、しかし決して消えない確かなを持って燃えがるのをじた。
私は顔をげ、義母ではなく、夫である拓也の目を真正面から見つめた。
「拓也。あなたにつだけ聞くわ」 「……え?」
私の声のさに、拓也がたじろぐ。
「この子がきくなって、物がついて、いつかこの記アルバムをいたとき……あなたは何て説するの?」 「な、何てって……」 「『どうしてお母さんは、表にも、族写真にも写っていないの?』って聞かれたら、あなたは何て答えるつもりなの?」
リビングが、を打ったように静まり返った。
「『おばあちゃんがおをしてくれたからだよ』って言うの? 『おばあちゃんが親戚に見栄を張るために、お母さんは邪魔だったから端っこに追いやられたんだよ』って、この子に説できるの?」 「それは……そんなこと……」 「『お父さんはおばあちゃんの嫌を取るのが番事だったから、お母さんが消されるのを黙って見ていたんだよ』って、胸を張ってこの子に言えるの!?」
私の鋭い問いかけに、拓也は完全に言葉を失い、喉を詰まらせた。 「ただの写真じゃないか」「親戚のがある」という、彼がこれまで逃げ込んできたっぺらな言い訳が、娘の未来という現実を突きつけられた瞬、音をてて崩壊していったのだ。
「彩さん、あんたいい加減にしなさいよ! 息子ので、母親を侮辱するのも――」
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「お義母さん」
私は義母の甲い声を、遮るように断ち切った。
「その妥協案は、お断りします」
義母が息を呑み、目を剥いた。
「このアルバムの制作は、本をもって正式にキャンセルします。私が母親として、娘の写真を使用することを拒否します」 「な……キャンセルですって!? 私が払った予約はどうなるのよ!?」 「規約に従ってキャンセル料が発するなら、私たちが支払います。お義母さんがされたおは、全額写真館から返してもらってください」
私は歩も引かずに言い切った。
「結の最初の記写真を、誰かの見栄や支配のための具にはさせません。誰が族のかなんて、おをしたが決めることじゃないわ」
義母はわなわなと唇を震わせ、今にも掴みかからんばかりの形相になったが、私の揺るぎない線に気圧されたのか、それ以言葉を紡ぐことができなかった。 そして、隣で呆然とち尽くしている自分の息子を見げた。
しかし、拓也はもう、義母を庇う言葉をにすることはできなかった。 私の問いのさに打ちのめされ、ただ青ざめた顔でを見つめていた。
「……もういいわよ! あんたたちなんか、どうにでもなりなさい!」
義母は切り声をげ、バッグを乱暴に掴むと、玄関へとりっていった。 乱暴にドアが閉まり、激しい属音が静寂のに響き渡った。
リビングには、私と拓也、そして腕のの結だけが残された。 張り詰めていた空気が抜け、私はそのにゆっくりと膝をついた。
だが、私のは驚くほど澄み渡っていた。 もう度と、誰かの顔を伺って自分の居所をけ渡すことはない。 母親として、のとして、守るべき境界線を自らので引いたのだ。
横につ拓也が、震える声で私の名を呼んだ。 しかし、本当の決断と精算は、まだ始まったばかりだった。
「彩……」
静まり返ったリビングで、拓也がおずおずと私の名を呼んだ。 その声はかすれ、途方に暮れた子供のように頼りなかった。
私は腕のの結を抱き直しながら、ゆっくりと顔をげた。 に散らばった義母の跡や、テーブルに乱暴に置かれたままのめたお茶が、嵐の爪痕のように界に入る。
「拓也、ってないで座って。これからのことを決めましょう」
私のややかな声に、拓也はビクッと肩をねさせ、義母が座っていた席を避けるようにして、別の子へ腰をろした。元を落ち着かなそうに握りしめ、私の目を直できずにいる。
「さっきも言った通り、野写真館のアルバムは正式にキャンセルするわ。お義母さんが支払った予約や内があるなら、写真館からお義母さんの座へ返してもらう。もし規定でキャンセル料や撮基本料が発するなら、それは私たち夫婦の活費からきちんと支払う」