"三人だけの家族写真と、消された私" 第6話
拓也はそう言っていた。だが、本当にそれだけだったのか。
鍵のく音がして、玄関のドアがいた。 「ただいまー」 拓也の気の抜けた声が廊に響く。
私はく息を吸い、ちがった。 ここからが、私の、そして私たちの族の本当の戦いだった。
玄関のドアをけて入ってきた拓也は、いつものようにスーツのネクタイを緩めながら、にしたコンビニのレジ袋を掲げて見せた。
「彩、買ってきたよ。おが好きそうなプリン。甘いものでもべて、し落ち着こうとってさ」
その能気な声と、事態をやり過ごそうとする浅い気遣いに、私の胸の奥でたいものが沈殿していくのをじた。 私はダイニングテーブルの子を引き、結を寝かしつけたばかりの静かなリビングで、拓也の正面に座った。
「プリンはあとでいいわ。拓也、座って。話があるの」 「……なんだよ、改まって。まだ写真館のことってるのか?」
拓也はわずかに表を張らせ、レジ袋をカウンターに置くと、居悪そうに私の向かいの席に腰をろした。
「今、枝叔母様から話があったわ」
その名をした瞬、拓也の眉がさくねた。
「枝叔母さん? なんで急に……お祝いの礼なら、この俺から話で伝えたはずだけど」 「私に、体調はどうかって配してくださったのよ。産の肥ちが悪くて、精神にも定で、事も育児も何つにつかない状態だって聞いたからって」
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拓也は目を瞬かせた。
「は? なんだそれ。お、そんなことないだろ。毎ちゃんと結の面倒見てるじゃないか」 「そうよ。だから私も驚いたわ。でも叔母様は、お義母さんからそう聞いたんですって」
私は叔母から告げられた言葉を、つひとつを交えずに再現した。 私がノイローゼ気で何もできないこと。 義母が毎通い詰めて、事から夜泣きの世話まで全てをで背負い込んでいること。 義母が倒れたらこの庭は崩壊してしまうと、涙ながらに親戚へ話で訴えていたこと。 そして、今度のお披目会には、私を無理に席させず、義母と拓也ので結を連れてくるよう親戚で話しっていること。
話し終える頃には、部のの空気が氷のように張り詰めていた。 拓也の顔から、完全に血の気が引いていた。
「……母さんが、そんなことを?」 「ええ。嘘だとうなら、今すぐ枝叔母様に確認の話をしてちょう午。それとも、の親戚にも同じ話が回っているか聞いてみる?」
拓也は喉仏をさせ、線を彷徨わせた。反論の言葉が見つからない様子だった。
「お義母さんはね、拓也。ただ写真館で目ちたかったわけじゃないのよ。最初から親戚に『無能で病な嫁』と『それを支える献な祖母』っていう物語を吹き込んでいたの。そして、その決定な証拠として、母親の私がしないあのアルバムを親戚に配るつもりだったのよ」
テーブルの目を指先でなぞりながら、私は夫の目をまっすぐに見つめた。
「『ほらご覧なさい、母親の名すら載せられないほど酷い状態なのよ』って、親戚全員に見せつけるためにね。あなたはこれでもまだ、お義母さんに悪気はなかったって言えるの?」
拓也は俯き、両でを抱えた。
「それは……確かに、母さんの言ってることは事実と違いすぎるよ。でも、母さんだって悪があって嘘をついたわけじゃなくてさ……ほら、昔から話を盛る癖があるだろ? 自分が苦労してきたから、親戚に認められたくて、ついげさに言っちゃっただけなんじゃないか?」
またそれだ。 拓也のからるのは、いつでも母親に対する無条件の擁護と免罪符だった。
「げさ、で済む話じゃないわ。私の母親としての尊厳を、親戚全員ので踏みにじっているのよ? あなたは自分の母親が嘘をついて妻を貶めているのに、まだ『悪気はない』で済ませるつもり?」 「じゃあどうしろって言うんだよ!」
拓也は耐えかねたように声を荒らげた。
「親戚に話して『母さんの言ってることは全部嘘です』って言いふらせばいいのか? そんなことしたら母さんのはどうなるんだよ! 恥をかかされて、ますます固になるに決まってるだろ!」