"三人だけの家族写真と、消された私" 第5話
だが、それを義母は親戚に対して、「嫁が無能だから、私がすべてを支えている」という美談に仕てげて吹聴していたのだ。
「……枝叔母様」 私は震えそうになる唇を必に引き結び、静な声を作った。
「義母から、にはどのようなことを聞いていらっしゃいますか」 「え? だから、彩さんは母親としての自覚がまだりないみたいで、結ちゃんの顔を見るだけでパニックになるから、当分のは実質にお義姉さんが母親代わりとして育てるしかないって。親戚みんなで配してたのよ。今度のお披目会も、彩さんは無理にてこなくていいから、お義姉さんと拓也で連れてくるように言っておいたわ」
点と点が、恐ろしい速度で本の線へと繋がっていった。
写真館での予約伝票。 『母親の名は載せないでください』
あの異様な指定の本当のが、ようやく理解できた。 義母は、ただ記写真で自分が目ちたかったわけではない。 親戚に見栄を張りたかっただけでもない。
義母は、親戚たちので「来で病な嫁」と「庭を救う献な祖母」という虚構の構図をあらかじめ作りげていたのだ。 そして、その物語を決定づけるためのかぬ証拠として、あのアルバムを用しようとしていた。
表には、誇らしげに微笑む祖母と、派に働く息子、そしてその腕に抱かれた無垢な孫娘。
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そこに母親の姿はなく、名すら刻まれていない。 それを見た親戚たちはどううだろう。 「ああ、やっぱり子さんが言っていた通り、あの嫁は本当に母親の役目を果たせていないんだわ」 「母親の名すら載せられないほど、変な状態なのね」 「子さんがいてくれて、拓也くんも結ちゃんも本当に救われたわね」
義母は、この写真を使って、親戚たちので「このの真の母親であり、絶対な支配者」としての位を確しようとしていたのだ。私のを、庭の記録から公然と抹消することによって。
「……彩さん? 聞いてるの?」 受話器の向こうから、叔母の審そうな声が響く。
私は受話器を握るに力を込めた。爪が掌にい込み、痛みがる。
「はい、聞いております。枝叔母様、ご配いただきありがとうございます。ですが、お義母様のお話には、事実と異なる部分が々ございます」 「えっ?」 「私は寝込んでもおりませんし、結の育児も毎自分でっております。お義母様にはお伝いをいただいたこともありますが、庭を任せきりにした事実はありません」 「でも、お義母さんはあんなに……」 「詳しい事は、いずれ拓也から親戚の皆様へきちんとお話しさせます。それでは、失礼いたします」
叔母が何か言い返すに、私は通話を切った。 ガチャリという乾いた音が、静まり返ったリビングに響いた。
体の奥底から、激しいりが湧きがってきた。 それは、産の疲れも、体の痛みもすべて焼き尽くすほどの、たく澄んだりだった。
「伝い」という美名のもとにがへ入り込み、私の尊厳を奪い、では私を無能な嫁として仕てげて同と賞賛を集める。 そして、その集成として、娘の最初の公式な記録から私を排除しようとした。
許せない。 絶対に、このまま終わらせるわけにはいかない。
だが、りに任せて義母に鳴り込んだところで、何のもないことは分かっていた。 義母は違いなく被害者を装い、「嫁にいじめられた」「親切を仇で返された」と親戚に泣きつくだけだろう。 論でぶつかっても、狡猾な義母の俵に乗るだけだ。
必なのは、言い逃れのできない事実の積みねと、現実な対処だった。
そして何より――。 私はリビングの壁にかけられた計を見つめた。 針は午を指そうとしていた。もうすぐ拓也が帰ってくる。
拓也だ。 彼は、本当に何もらなかったのだろうか。 写真館であれほど簡単に義母の隣に並び、私の名が消されていたことに「らなかった」と驚いて見せた夫。 しかし、あの予約伝票の件を追求されたときの、あの微かな線の揺らぎ。
「親戚に見せるための記アルバムを作りたいからって、費用も全部してくれるって言ったやつだろ?」