"三人だけの家族写真と、消された私" 第2話
義母の眉がピクリとねがった。 しかし、狼狽える様子は微もなかった。むしろ、見られたこと自体へのを隠そうともせず、さくを鳴らした。
「あら、勝に見ちゃったの? 気が利かないカメラマンね」 「母さん、本当なのか? 彩の名を載せないって……」
拓也がおずおずとを挟む。義母は息子を瞥すると、まるで聞き分けのない子供を諭すような甘い声を作った。
「拓也、あなたまで何言ってるの。彩さんは退院してからずっと、体が痛いだの眠れないだの言って、まともにけていなかったじゃない。買いしもお料理も、結のお世話だって、ほとんど私が毎通って支えてあげたのよ? 今の彩さんは休むのが仕事だし、今回の写真は親戚にお披目するためのものなの。誰がを切り盛りして、誰がこの子を守っているのか、親戚の皆さんに分かりやすく伝えたかっただけよ。アルバムに誰の名がいてあるかなんて、そんなに事なことかしら?」
義母は悪びれるどころか、堂々とそう言い放った。 「私が苦労して面倒を見てやっているのだから、私が主役で当然だ」という固な自負が、その言言に染み付いていた。
「……事なことですよ」
私の喉の奥から、乾いた声がた。
「結の母親は私です。お義母さんではありません」
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「だから、そんなの悪い言い方をしなくてもいいでしょう? 私は産のあなたを気遣って、負担を減らしてあげようと……」 「気遣いなら、なぜ事に私に相談しなかったんですか」
私の追及に、義母は言葉を詰まらせ、そうに唇を尖らせた。 「これだから若いは……せっかくのおをしてあげた親切を、仇で返すような真似をして」
義母の理屈は最初から破綻していた。けれど、彼女のなかでは「をしたが、い通りの写真を作る権利を持つ」という論理が完璧に成しているのだ。
これ以、ここで義母と押し問答をしてもの無駄だった。 私は義母から線をし、再びカウンターの野さんの元へと歩きした。
「おい、彩!」 拓也が慌てて追いかけてくる。背からは「何なの、あの態度は!」という義母の甲い声が聞こえた。
私は野さんのにち、伝票を指で示した。
「野さん。このアルバムですが、現点でレイアウトの作成や印刷の程には入っていますか?」 「いえ、本は撮したデータを取り込むだけでして、実際の編集作業やアルバムの製本発注は、週けからめる予定になっております」 「わかりました。では、私の確認が取れるまで、アルバムの制作作業を完全にストップしてください」
私の言葉に、野さんは驚いたように目を見張った。
「ストップ、ですか」 「はい。母親である私の承諾がないまま、私の名を排除したり、族構成を図に歪めた形でのアルバム制作には同できません。私自の肖像や、娘の掲載写真についても、私と夫の確認を経ていない形でのはお断りします」 「彩、ちょっと待てよ!」 追いついた拓也が、私の腕を掴もうとした。私はそれを静かに、しかしはっきりと振り払った。
「野さん、費用の支払いが義母であっても、掲載される当事者の同がないものは作れませんよね?」 「……おっしゃる通りです。当スタジオといたしましても、ご族でお話がまとまっていない状態でさせることはできません。トラブルを避けるためにも、内容についてのが得られるまで、データは保管のまま保留とさせていただきます」
野さんはプロとして、極めて静に私の申しを受け入れてくれた。 「ふざけないでよ!」
義母が音を荒ててカウンターに詰め寄ってきた。りで肩を震わせ、顔を真っ赤にしている。
「彩さん、何様のつもり!? おをしたのは私よ! 予約したのも私! あなたが円でも払ったの!? 員さんも員さんよ、おを払った客の言うことを聞かないでどうするの!」 「お義母様、申し訳ございませんが、肖像権やご族写真の掲載内容に関しましては、親権者様のご志を無してめることはいたしかねます」
野さんはをげつつも、毅然とした態度を崩さなかった。