"捨てられた整備士、沈黙の咆哮" 第20話
からは、俺が旋盤に張り付いて削る。おは輪のに潜って、寸法をコンマミリ単位で指示しろ。で同に回せば、絶対にの昼にはにう」
田の瞳がきく揺らぎ、やがて彼女は、々と、力く頷いた。
「……はい!」
その夜、事務所の黒話がけたたましく鳴り響いたのを、作業にいたは旋盤の唸りにかき消されて全く気づいていなかった。
それは、昼のに笹本が古パーツの庫確認のために片っ端から掛けまくっていた、部品商からの折り返しの話だった。そして、その掛けた相のリストのに、あの原オートサービスの部品統括センターが含まれていたことなど、笹本は疾うの昔に記憶から消しっていた。
翌、正午をし回った頃だった。
初の乾いたが吹き抜けるのに、台のピカピカに磨きげられたいライトバンが滑り込んできた。
体のサイドドアには、見慣れた鮮やかな青いロゴマークが誇らしげにプリントされていた。『原オートサービス・広域部品調達部』。
スライドドアが軽な音をててき、運転席からの男がりてきた。
齢はだろうか。糊の効いた真しい作業着には油染みひとつなく、襟元には管理職を示すのバッジがっていた。男がのへとを踏み入れてくると、柔剤の甘いなりが、ふわりと笹本の先をかすめた。
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オイルと切削油の焦げた匂いしかしないこの臭い町には、あまりにも釣りいな、清潔すぎる匂いだった。
「お話をいただいた、笹本さんですか? 私、原オートサービスの部品管理課の川と申します。うちの流通センターのから、珍しい旧の部品を探しているがあるという話が回ってきましてね」
笹本は旋盤のスイッチを切り、軍をはめたで軽くをげた。
「わざわざを運んでいただくような話じゃありませんよ。昔ののブラケットを探していただけですから」
「いえいえ、この辺りの請けはに度巡回しておりますから、ついでですよ」
川と名乗る男はそう言いながら、の端から端へと、値踏みするように線をらせた。
かない油圧リフト、油とで黒ずんだコンクリート、切れたままの蛍灯。その侮蔑を隠そうともしない線のきだけで、男がこのをどう評価しているかがに取るように分かった。
そして――川の線が、暁2000クーペのエンジンルームのにつ、ののところでピタリと止まった。
田美紀は、にデジタルマイクロメーターを握りしめたまま、微だにせず川の顔を見つめ返していた。
「……あれ?」
川の元が、品のない嘲笑の形へと歪んでいった。
「おいおい……田じゃないか。お、まだ備士なんてやってたのか?」
の空気が、瞬にして凍りついた。
田は何も答えず、ただ唇を真文字に結んでいた。
「いやあ、驚いたな。てっきり田舎へ帰って、しく事務員かスーパーのレジ打ちでもやってるものだとってたよ」
川は革靴を鳴らしながら、ずけずけと暁のそばへと歩み寄っていった。そして、け放たれたボンネットのを覗き込み、作業台のに広げられたあの学ノートを見ろした。
「おいおい、まだこんな無駄な落きを続けてるのか?」
川は差し指の先で、ノートの端を馬鹿にしたようにペラリと弾いた。
「うちにいた頃もそうだったよなあ、おは。輪を箇所すごとに何分も眺め回して、誰も読みもしないノートにびっしりと講釈をき連ねて……。ラインの作業効率をどれだけ落とせば気が済むんだって、毎毎、現の連がを抱えてたんだぞ」
笹本は旋盤のから歩もかず、徹な線を川へと注ぎ続けた。
「……川」田の声が、ようやく絞りすように漏れた。「そのは、まだ作業です。触らないでください」
「作業?」
川は笑しくてたまらないといったに、暁のボディの周りをぐるりと周した。
「何かけてるんだ、このに」
田は答えない。
「おい、聞いてるんだよ。何だ?」
「……今で、目です」