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"義母を無償介護した3年、夫は私の名義で毎月15万円を受け取っていた" 第8話

特定の使途――つまり『美保さんへの介護謝礼』として親族から振り込まれた銭を、受取本に隠蔽したまま費消していたのであれば、着と評価されても仕方がありません。ましてや、美保さんが実費で万円も持ちしをしている実態があるのですから、活費で適切に賄われていたという抗弁は通りませんね」

法な輪郭が、綺麗に浮き彫りになっていく。 論ではなく、条文と判例の物差しで測った、夫のいがどれほど歪んだものであったか。 胸の奥の澱が、しだけ削ぎ落とされる覚がした。

「問題は、こちらの『万円』です」

先が、理恵の座細の黒塗り部分をペン先で叩いた。

「義妹さんは、当初は自分のパート代から万円をしていたが、途からせなくなり、お義母様と相談して支払方法を変更した……と言っているのですね?」

「はい。ですが、ケアマネジャーに確認したところ、公なケアプラン以に自費のサービスは切契約されていませんでした。もし理恵さんが、お義母様の座から毎万円を引きし、万円を兄に横領させ、残りの万円を自分の元に残していたのだとすれば……」

「ええ。これはお義母様に対する、親族での財産侵害、あるいは当利得返還請求の対象になり得ます」

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先は腕を組み、く息をついた。

「美保さん。この件、あなたがでご主や義妹とやりってはいけません。彼らはあなたを『内の嫁』として侮り、言いくるめようとしてきます。第者を交え、公ので、逃げのない数字を突きつける必があります」

「第者……ですか」

「ケアマネジャーの渡辺さんを巻き込みましょう。ちょうど、介護体制の見直しが必なタイミングです。担当者会議という名目で、親族全員とケアマネジャーが集まるを設定してください。私も、美保さんの代理として通を作成し、背から同する準備をめます」

事務所をると、駅のがたいビルに揺れていた。 の空を見げながら、私はスマホのロックを解除した。

夫からの着信拒否を解除した途端、溜まっていたメッセージが気に流れ込んできた。

『おい! 母さんのデイサービス、今送りせなかったぞ!』 『朝から嫌が悪くて、部からてこないんだよ! どうしてくれるんだ!』 『理恵も会社休めないってって帰ったぞ! お、母親を見殺しにする気か?!』

メッセージのを見る。 締めされてから、わずか目。 たった、私がにいないだけで、あのは完全に能止に陥っていた。

見殺しにする気か、という文字を見つめながら、私の唇からたい笑みがこぼれた。

私は見殺しになどしていない。 事も、薬も、介助の順も、すべて完璧にノートにき残してきた。 それを放棄し、面倒な排泄介助や嫌な義母の相から逃げしているのは、血の繋がった息子と娘、あなたたち自じゃないか。

私はく、返信を打ち込んだ。

『の午、ケアマネジャーの渡辺さんと緒に、自宅へ伺います。今の介護体制と、費用の精算について正式に話しいましょう。理恵さんにも必ず同席させてください』

送信ボタンを押すと、即座に既読がついた。 夫からの返信は、言だけだった。

『分かった。絶対に逃げるなよ』

逃げる? 誰が逃げるものですか。 逃げを失うのが誰なのか、まだ何も分かっていない。

翌の午。 の引き締まった空気の、私はケアマネジャーの渡辺さんと共に、見慣れた自宅の玄関のにっていた。

渡辺さんはのネイビーのコートを着込み、には分い業務ファイルとタブレットを抱えている。 その表は、普段の穏やかさとは打って変わって、極めて厳格な専職の顔だった。

ピンポン、とインターホンを鳴らす。 数秒、ドタドタと乱暴な音がづいてきて、ドアが勢いよくいた。

現れた夫の姿を見て、私はわず眉をひそめた。 無精髭が伸び放題の顎、目のに濃く落ちた隈、ヨレヨレのスウェット。

たった、で義母の世話をしただけだというのに、まるで週徹夜したかのようにやつれ果てていた。

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