"百日祝いを門前払いされた娘に、24年後届いた祖母の手紙" 第15話
そして、節子叔母さんをはじめとする親族があまり、正座してこちらを見つめていた。
「……灯」
父がちがった。 芝居がかった痛ましげな表を作り、両を広げて歩み寄ってくる。
「よく来てくれたね。体は丈夫かい? 辛かったら、すぐに横になれる部も取ってあるからね」
芝居がかった優しさに、背筋が粟つ。 父のが私の肩に触れようとした瞬、私は半歩だけろにがり、そのを完全に空振らせた。
広の空気が、わずかに張る。
「……灯ちゃん、顔は悪くないみたいでしたわ」
親戚の叔父のが、探るように声をかけてきた。 すかさず父が割り込み、叔父をで制しながら苦笑いを浮かべる。
「無理をして化粧で隠しているんですよ。なあ、灯。さあ、おの席はここだ。お袋の真んだぞ」
促されるまま、私は座卓の端、全員の線が真正面から突き刺さる位置に腰をろした。 向かいの席で、悠がスマートフォンを弄りながら、私の顔をじっと睨みつけている。 その目のには、以会ったよりもさらに濃い隈が張り付いていた。
宴席が始まって分。 懐料理の椀物がげられたタイミングで、父がわざとらしく咳払いをし、ちがった。
「皆様。本は母のの祝いにお集まりいただき、誠にありがとうございます。……ですが、宴も半ばのこので、どうしても皆様にご報告し、謝をお伝えしなければならないことがございます」
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親戚たちが箸を止め、斉に父に注目した。 祖母はハンカチを目元に当て、すでに涙ぐむ準備を始めている。
父はスーツの内ポケットから、分い純の祝儀袋を取りした。 表きには、墨黒の文字で『特別支援』とかれている。
「皆様の温かいごにより、灯のための特別支援、第次分として百万円が集まりました。……灯、へ」
父が私を招きした。 同に、斜め向かいの悠が素くスマートフォンを構え、カメラのレンズを私に向けた。
「灯。おがい病に倒れたと聞いた、親族同、がを引き裂かれるいだった。だが、おは佐久の血を引く娘だ。みんなでおを支える。さあ、この支援を受け取りなさい。そして、みんなに謝のを読んでくれ」
父のから、分い封筒が私の目のの畳のに差しされた。 その横には、あらかじめ父が用したであろう、つ折りにされた便箋が枚。
『回復謝の』。
悠の構えるスマートフォンの赤い録画ランプが、気に点滅している。
この封筒を受け取り、をげ、を読みげれば――。 私はれて「支援を受け取った共犯者」となり、悠の借を埋めるための百万は、へと消える。
「さあ、灯。く」
父が催促するように顎をしゃくった。 親戚たちが、固唾をんで私を見守っている。
私は、差しされた封筒を見つめた。 そして、ゆっくりと両を伸ばした。
父の角が、勝ち誇ったようにわずかにがった。
その瞬。
私は封筒を押し戻した。 畳のを滑ったい祝儀袋が、父の膝にコトリと当たって止まる。
「……え?」
父の眉がねがった。
「灯? 何をしているんだ。恥ずかしがらなくていいから、く――」
「お断りします」
私の声は、驚くほど静かに、けれど凛として広に響き渡った。
「私は何の病気にもかかっていません」
広の空気が、瞬で凍りついた。
「……は?」
悠がスマートフォンのカメラをろし、の抜けた声を漏らした。 親戚たちの顔が、斉に張る。
「灯、何を馬鹿なことを言っているんだ」
父は慌てて笑顔を取り繕い、周囲の親戚に目配せをした。
「混乱しているんですよ。抗がん剤の副作用で、精神にも定になっていて……」
「父さん、嘘をつくのはもうやめてください」
私は鞄のファスナーをけ、から冊のファイルを取りした。 そして、際よく枚の類を抜き取り、座卓の央に滑らせた。
番にあるのは、先週交付されたばかりの健康診断。
「私の直の健康診断結果です。血液検査、腫瘍マーカー、胸部レントゲン。すべての数値に異常はありません。悪性リンパ腫などという診断を受けた事実は、私のに度たりともしません」
「な……!?」
親戚の老である叔父が、を乗りして類をひったくった。