"百日祝いを門前払いされた娘に、24年後届いた祖母の手紙" 第14話
「灯、今の通話、録音できた?」
「うん。最初から全部、ボイスレコーダーに入ってる」
私はテーブルのの型録音を止めた。 父の焦り、止め料の提示、そして息子の借を庇うための発言。 すべてが、かぬ証拠として記録されていた。
寿宴の々。 節子叔母さんから、私の元に枚の画像が送られてきた。
父が親戚同に配るために、事に印刷所へ発注していたという、寿宴の『次第』の写真だった。 叔母の夫である叔父が、幹事の打ちわせと称して父から渡されたものを、こっそり撮してくれたのだ。
老舗料亭の広。 参加者は、佐久の血縁者、総勢名。
面には、おめでたい鶴亀の透かしが入った等な用に、几帳面な朝体でスケジュールが記されていた。
、会の辞(男・修司) 、祝辞および乾杯(親族代表) 、歓談 、孫女・灯による回復謝の朗読、ならびに親族同による治療支援の授与 、記撮(旧族の絆を寿ぐ枚) 、閉会の辞
文字を目にした瞬、背筋が凍りついた。
『回復謝の朗読』。 『治療支援の授与』。 『旧族の絆を寿ぐ枚』。
あの男は、最初から最まで、このシナリオ通りに私をかすつもりだったのだ。
私が台央にち、用されたを読みげ、親戚から集めた支援の目録を受け取ってをげる。
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その瞬を、悠がスマートフォンで撮する。 支援はすでに全額渡されたという『受領証』の代わりに、その画と写真を使う。
万が、から親戚が「おはどうなった」と騒ぎしても、 「娘は元気になり、おも本が受け取って謝していた。写真も画もある」 と言い逃れるための、完璧なアリバイ作り。
そして、偽造された百祝いの写真と同じように、 『病を乗り越え、再びつになった美しい佐久』 という欺瞞に満ちた物語を親族に刷り込み、父のメンツと悠の未来を守るための茶番劇。
その贄として、私が選ばれていた。
「……徹底ね」
私はスマートフォンの画面を指先でなぞった。 震えは、もう完全に止まっていた。 胸のにあるのは、氷のようにたく澄み切った決だけだった。
料亭の個という、逃げのない密。 世体と体裁を何よりもんじる、親族同が集まるれの席。
父が用したその完璧な台こそが、 彼らが積みげてきた嘘のを、々に叩き壊すための最の処刑になる。
私は鞄のに、すべての証拠を収めた分いクリアファイルを滑り込ませた。
母のおい初めの原版写真とネガフィルム。 悠のアルバムから複写した〇〇の写真。 叔母たちの振込控えと計簿のコピー。 健康診断の診断。
悠が起した募の趣と認親のの文面対照表。 そして、先が作成した、法続きの予告通。
準備は、すべてった。
計の針が、夜のを回る。 、の歪んだ歴史に、私自ので終止符を打つ。
い引き戸をけた瞬、檀のりと共に、微かな汁の匂いがをついた。
宿の老舗料亭。 入れされた庭のびを渡り、案内されたれの個のでを止める。
障子の向こうから、笑い声が漏れ聞こえていた。 を澄ますと、く通る父の声。
「ええ、今は本当にありがとうございます。あの子もね、体調の波はあるんですが、どうしてもお袋の傘寿を祝いたいと申しまして……ええ、どうか病気のことは直接触れないでやってください。あの子、自尊だけは倍いですから」
胃の底が、氷をみ込んだようにえ切っていく。
自尊。 体調の波。 最まで、周到に私を「病の劇のヒロイン」に仕てげ、親戚たちのを塞ごうとしている。
私はく息を吸い込み、肩にかけた鞄のみを確かめた。 指先はたい。けれど、震えは微もなかった。
「失礼いたします」
音をてずに襖をけた。
広の央に据えられたきな漆塗りの座卓。 座には、豪奢なのちゃんちゃんこを羽織った祖母が座っていた。 その隣に、仕てのいい紺のスーツを着た父。
斜め向かいには、どこか落ち着きなく貧乏ゆすりをしている悠。