"百日祝いを門前払いされた娘に、24年後届いた祖母の手紙" 第4話
父は待ってましたとばかりに、きく頷いた。
「当たりだろう! あの私の名に格したって聞いたは、親族同で騒ぎしたんだからな。叔母さんたちも『灯ちゃんは佐久の血を引いて優秀だ』ってんで、みんなで何万も入学祝いを包んでくれたんだ。俺が責任を持ってお母さんに渡したんだよ」
喉の奥が、カラカラに渇いた。
私の名貫? 何の話をしているの?
私は学も、学も、も、すべて元の公学に通っていた。 のはだらけになりながら自転を漕ぎ、制はおがりを譲ってもらい、母が夜遅くまで文具でパートをして学費を面してくれていた。
私なんて、受験すらしていない。
「……そう、だったんですね」
私は元のグラスのたいをみ、渇いた喉を潤した。 氷がカランと乾いた音をてる。
父は私の反応を「父親のにしている」と誤解したのか、満そうに角をげた。
「来のお袋のの祝いには、親戚もみんな集まるんだ。おに学費をしてくれた叔母さんたちも来る。みんな、派に育ったおの顔を見たがっているよ。お袋のためにも、必ず来てくれるね?」
「……向きに、考えてみます」
私はそれだけ答えて、席をった。 背から「連絡を待っているよ」と投げかけられた父の甘ったるい声を、背で振り払うようにしてをた。
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駅の雑踏ので、私はスマートフォンのメモ帳をき、震える指で打ち込んだ。
『父は私が私学に通っていたと親戚に嘘をついている。入学祝いの名目で、親戚からおを集めていた能性あり』
画面を見つめる界が、りで微かに歪んだ。 あの男は、私をしていたからを送ってきたんじゃない。 、私のすら顧みなかったくせに、今もなお、私の名を「何かの具」として使い続けている。
翌週の曜、私は祖母の澄が暮らす世田の実を訪ねていた。 父には内緒だった。 平の昼がり、齢の祖母がでいるを狙っての訪問だった。
閑静な級宅に佇む、派な本。 庭の入れはき届いており、玄関先には級がまっている。 、母と赤ん坊の私が閉めされた、まさにその所だった。
インターホンを押すと、しばらくして、ゆっくりとした音がづいてきた。
ガチャリといたドアの向こうにっていたのは、腰の曲がった、柄な老だった。 歳。髪を綺麗にセットし、等な紬の着物を着ている。 けれど、かつて母を睨みつけたであろうその瞳には、老いによる濁りと、どこか頼りなげなが宿っていた。
「……どなた様かしら?」
「川灯です。おをいただいたので、伺いました」
そう告げた瞬、祖母の表が劇に変わった。
「まあ……! 灯ちゃん……!? 本当に、灯ちゃんなの!?」
祖母は震えるで私の腕を掴んだ。 その力はいのほかく、枯れ枝のような指先が私ののからい込んでくる。
「よく来てくれたわねえ……! さあ、がって。くに入りなさい」
客に通されると、部のには価そうな調度品が所狭しと並んでいた。 のの掛け軸、黒漆の座卓、そして壁際のサイドボード。
祖母はお茶を淹れるももどかしそうに、私の顔を穴がくほど見つめてきた。
「本当に、修司のさい頃にそっくり。あの百祝いのもね、ちっとも泣かないでお利さんで……あの写真、見てくれたでしょう? 私たち、あなたを本当にしていたのよ」
祖母のからてくるのは、にかれていたのと同じ言葉ばかりだった。 あの百祝いがいかに素らしかったか。 族みんながどれほどんだか。
「おばあちゃん」
私は遮るように、静かに問いかけた。
「私、今どんな仕事をしてるかってますか?」
祖母はピタリときを止めた。 目を瞬かせ、困ったように線を泳がせる。
「え……? それは……お勤めをしているんでしょう?」
「何の会社で、どんな仕事をしているか、っていますか?」
「それは……修司から聞いていたはずだけど、最物忘れがくてねえ……」
「私の趣は? 好きなべ物は? 私がどんなに育ってきたか、何かつでもっていますか?」
祖母の唇がさく震えた。