"百日祝いを門前払いされた娘に、24年後届いた祖母の手紙" 第3話
胸の奥で、たいがパチパチと音をてて燃え広がっていくのをじていた。 私はただの無力な赤ん坊じゃない。 自分ので考え、自分ので歩く、歳のだ。
母は私の目をじっと見つめ、やがてさく頷いた。
「分かったわ。でも約束して。何か違があったら、絶対にそので返事をしないこと。全部、私と共すること。いいわね?」
「うん。約束する」
の曜、私は宿のホテルのラウンジにいた。 に同封されていた父の連絡先にショートメッセージを送り、指定された所だった。
約束のを分過ぎた頃、仕ての良いネイビーのスーツを着た男が、にこちらへ歩いてきた。 歳。髪交じりの髪を綺麗に撫でつけ、ゴールドのフレームの鏡をかけている。 首には名ブランドの腕計。 どこからどう見ても、仕事のできる、裕福で品の良い初老の紳士だった。
男は私のにつと、息を呑むような袈裟な仕をして、鏡の奥の目を潤ませた。
「……灯、なのか? 本当に、灯なんだな」
「初めまして。川灯です」
私がを押し殺して会釈すると、父――佐久修司は、極まったように両を広げかけ、私のたい線に気づいてぎこちなくを引っ込めた。
「ああ、すまない。あまりにも母親の若い頃にそっくりだから、つい取り乱してしまったよ。
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きくなったな……本当に、綺麗になって」
テーブルを挟んで向かいって座る。 父は注文を取りに来たウエイターに慣れたつきでアイスコーヒーを頼むと、テーブルのにを乗りしてきた。
「と写真、見てくれたかい? お袋がね、もうずっとあなたのことを気にしていてね。ぬに度でいいから灯に会いたいって、毎のように仏壇のでをわせていたんだよ」
「……あのおい初めの写真、お父さんが持っていたものですか?」
私の静かな問いに、父は瞬だけ目を泳がせ、すぐにの良さそうな笑みを浮かべた。
「ああ、そうだよ。あのは本当に楽しかったな。親戚が集まって、おの誕をからんだんだ。あの写真を見るたびに、俺は父親らしいことをしてやれなかった自分を責めていたよ」
臓のあたりが、スーッとたくなっていく。 このは、平然と嘘をついている。 母を払いし、寒空ので泣かせたそののことを、「楽しかった」と笑って語っている。
「どうして、今まで度も連絡をくれなかったんですか?」
私がまっすぐに目を見て尋ねると、父はいため息をつき、スーツの内ポケットから古びた封筒を取りした。
「これを見てほしい」
からてきたのは、母の跡でかれた、数のい便箋だった。
『今切の接触を拒否します。
娘のに度と姿を現さないでください。川美紀』
付は、婚調が成した直のものだった。
「お母さんが、頑なだったんだよ」
父は痛な表を作り、額を押さえた。
「俺は何度も会いにこうとした。養育費だって、本当は直接渡ししておの顔を見たかった。でも、お母さんは俺を激しく拒絶した。このを突きつけられて、これ以追いかけたらおたちの活を壊してしまうとって……俺は、を引くしかなかったんだ」
滔々と語られる、劇の父親の物語。 もし私が何もらず、母への信を抱いたままここに来ていたら、この涙ぐむ父親の言葉を信じてしまっていたかもしれない。
けれど、私には分かっていた。 母がこのをいた本当の理由を。 父が浮気相とのにできた子どもを認し、私と母を実質に追いしたからこそ、母は娘を守るためにこの絶縁状を突きつけたのだ。
「でもね、灯。俺は度だっておを見捨てたことはないんだよ」
父は私の元に線を落とし、誇らしげに胸を張った。
「親戚にもをげて、ながらおの成を支えてきた。おが自由なく育つように、入学のだって、親戚同から集めたお祝いを母さんに届けていたんだから」
……え?
眉が微かにいたのを、悟られないように伏せた。
お祝い? 母が親戚からおを受け取ったことなんて、度もないはずだ。
「あの、お父さん」
「何だい?」
「私の学の入学のも、ですか?」