"ローンを完済した私に、義母は「家なら売った」と言った" 第18話
がづいていた。 の定期建物賃貸借契約の満。 埼玉の旧宅を、完全にけ渡さなければならないリミットだ。
私はパートのシフトを調しながら、で宮駅くの産を回った。 見つけたのは、駅から徒歩分、築の鉄骨アパートの階。 向きの畳に、さなダイニングキッチンがついた1DKだった。
賃は、管理費込みで万千円。 私の万円のパート収入で、分に無理なく払っていける額だ。
契約に署名し、敷と礼を自分の座から振り込んだとき、喉の奥がきゅうとくなった。 ぶりに、自分の名だけで結んだまいの契約。 誰の顔を伺う必もない、私だけのだった。
旧宅に戻ると、玄関に夫の靴があった。 リビングへ入ると、夫はダイニングテーブルに突っ伏していた。 無精髭が伸び、かつての几帳面な管理職の面はどこにもない。
「……澄子」
濁った目で顔をげた夫が、掠れた声をした。
「お、アパートを契約したらしいな」
「ええ。までに、私の荷物は全部運びすわ」
夫はガタッと子を引いてちがった。 血った目で私を睨みつけ、震える指を突きつけてくる。
「勝にていくのか! 俺に無断でをるってことは、おが居権を放棄したってことだぞ! 勝にてった奴に、財産分与を請求する権利なんてあるわけないだろうが!」
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どこまでも、どこまでも浅ましいだった。 自分がを売りばし、定期借にして私を追いそうとしていたことなど都よく棚にげ、最まで私を「勝にてった悪者」に仕てげようとしている。
私は何も言い返さず、バッグから枚の類の控えを取りしてテーブルに置いた。
「今朝、弁護士からあなた宛てに内容証郵便を発送したわ」
夫の眉がピクリとねた。
「『定期建物賃貸借契約の期満に伴う正当な退であり、別居または退をもって財産分与請求権を放棄したものではない旨の確認通』よ。あなたがどれだけ騒いでも、法な記録はすべて残るわ」
夫は喉をヒューヒューと鳴らし、言葉を失った。 威嚇も、鳴り声も、法の続きのにはただの空砲に過ぎない。
私は階にがり、荷造りを始めた。 分の暮らしの断捨。 義母から押し付けられたな物、夫が買わせたたい婚礼具、息が詰まるようないが染み付いたカーテン。 それらはすべて、用品回収業者に頼んで処分することにした。
元に残したのは、私のと、両親の写真と、いくつかの本。 そして、代のころに自分で買った、さなティーカップだけ。 段ボール箱にして、たったの箱。 耐え続けた私ののみは、これだけだった。
。 れのたいが吹き抜ける午だった。
引っ越し業者のトラックが私の段ボールを積み終えた、旧宅のリビングには、管理会社の担当者と、私と、夫、そして義母が揃っていた。
鍵の返還と、退のち会い。
義母はパイプ子にさく腰掛け、終始うつむいていた。 築マンションでの優雅な老というを奪われ、すっかりさく縮こまっている。 あのだった態度は見るもなく、私の顔を見ることすらできない。
「澄子さん……」 ちがろうとした私に、義母が震える声で呼びかけた。
「お願いよ……私を連れてって。あの子となんて、もう嫌なのよ。あの子、毎お酒ばかりんで、私に鳴り散らすのよ……! あんたのアパートに、私を置いて頂戴……!」
すがりつこうと伸ばされたを、私は静かに、だが迷いなくかわした。
「お義母さん。私には、あなたを養う義務はありません」
「も緒にいたじゃないの! 族じゃないの!」
「族を裏切って、追いそうとしたのはあなたたちです」
私の徹な声に、義母は息を呑み、力なくを膝のに落とした。 義母には、自の国民がある。 弁護士と自治体の域包括支援センターがに入り、義母には駅かられた古い公団宅の単用居が配されていた。 息子からピンハネされた百万円を取り返す気力もなく、これからは細々としたので、誰の世話にもならずにで暮らしていくしかない。