"ローンを完済した私に、義母は「家なら売った」と言った" 第8話
『このマンションは、私がをし、私が宅ローンを組んで、私の単独名義で購入した私のです。彦さんから、お母様と同居するなんて話は言も聞いていません』
『な、何を言ってるのよ! 彦が千百万もしたんでしょうが! 実質あの子のじゃないの!』
取り乱す義母に、浦織は眉ひとつかさずに言い放った。
『彦さんからの資は、で暮らすための準備として受け取ったものです。私は仕事をしていますし、これから自分のを築くためにローンを背負っているんです。どうしての母親の介護まで引き受けなきゃいけないんですか?』
『介護ですって……!?』
『無理です。絶対にお断りします。お母様のまいについては、彦さんが老ホームか別の賃貸を探す切れとして、すでにまとまった現を渡していると伺っていますけれど?』
義母は隣にっていた息子を見げた。 助けを求め、あの女をしてくれると信じて。
けれど、彦は線を面に落としたまま、ただ額の汗を拭っていた。 そして、母親に向かって、ボソリとこう言ったのだという。
『……母さん、今はもう帰れよ。なら渡しただろうが』
それが、義母が溺し、妻を犠牲にしてまで守りててきた「自の息子」の言葉だった。
「嘘よ……嘘に決まってるわ……」
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リビングのソファに座らせ、温かいお茶を差しすと、義母は湯呑みを握りしめたままボロボロと涙をこぼした。 きてきて、初めてわう完全な拒絶。
「私を捨てる気だったのよ、あの子……! あの若い女とだけで暮らすために、私を体よく放りすつもりだったのよ……!」
私はめた目で、震える義母を見つめていた。 同は湧かなかった。 喉の奥に広がったのは、乾いた苦いだけだ。
「お義母さん」
「何よ……あんたも私を笑えばいいじゃない! ざまあみろってってるんでしょう!」
「さっき、織さんが仰ったそうですね。『まとまった現を渡したはずだ』って」
義母の肩が、ピクリと止まった。
「あのを売ったお。千百万円。残債を払って残った千百万円のうち、千百万があの女のマンションに消えました。残りは千百万円です」
私はを乗りし、義母の目をまっすぐに見据えた。
「彦さんは、お義母さんにいくら渡したんですか」
義母の線が泳いだ。 唇を噛み、膝ののワンピースの布をぎゅっと握りしめる。 言いたくない、という躊躇い。 だが、もう息子への信頼は完全に砕されていた。
「……百万よ」
義母は絞りすように呟いた。
「を売るとき、あの子が言ったのよ。『母さんの老の面倒は最まで見る。元資として百万円を母さんの座に入れるから、売却の同に実印を押してくれ』って……」
「百万円」
「でもね……」 義母の声が、震えるりに変わった。
「通帳に振り込まれたのは、百万円だけだったのよ!」
胃の底が、ドサリと音をててえ切った。
「……百万円?」
「そうよ! 残りの百万はどうしたのかって聞いたら、『俺が元で運用して、いざというの施設代に置いておくから配するな』って……そう言われて、預かり証みたいなを枚渡されただけで……!」
百万。 つまり、夫は自分の母親にすら嘘をついていたのだ。 百万渡したと周囲には見せかけ、実際には百万だけを放り込み、残りの百万は自分の隠し座へ還流させていた。
千百万円の売却益。 織へのが千百万。 母親へ百万。 元に残した百万。 そして、この、私から毎万円を巻きげながら、万千円の賃との差額を補填していた百万円。
パズルのピースが、音をてて狂いなく噛みっていった。
あの男は、最初から誰もしていなかったのだ。 尽くした妻も、自分を盲目に甘やかしてきた母親も。 ただ自分のしい欲望を満たすためだけに、全員を欺き、全員からを吸いげ、最は自分だけが若いのマンションへ逃げ切る算段をてていた。
「澄子さん……」
義母が、すがるような目をして私の首を掴んできた。
「あんた、私の方になってよ。
ねえ? あの子の通帳の履歴、あんたなら調べられるでしょう? 残りの百万を取り返してちょうだいよ! 私のを奪ったまま逃げるなんて、絶対に許せないわ!」