"ローンを完済した私に、義母は「家なら売った」と言った" 第5話
そして、見つけた。 斎の本棚の隅、分い自保険の契約ファイルの裏表に、さく折り畳まれて挟み込まれていた枚の。
の『振込受取』の控えだった。 付は、令。 旧宅の売却代が決済された、まさにその翌週の付。
額の欄には、信じられない数字が並んでいた。
【振込額:壱阡参陌萬円(13,000,000円)】
千百万。 私の目が、その隣にある受取の名に釘付けになった。
【振込先:ミウラ サオリ】 【受取名:浦 織】
ミウラ、サオリ。
聞いたこともない名だった。 親族でもない。夫の会社の名でもない。 らかに、若い女の個名だった。
臓が、鐘のように打ち鳴らされる。 指先がガタガタと震え、受取のがカサカサと音をてた。
千百万。 私たちが、汗垂らして築きげてきたを売り払ったから、半分以の巨額が瞬で見らぬ女の座へと振り込まれていた。
その夜、私はもできなかった。 枕元にスマートフォンを置き、「浦織」という名を検索し続けた。 だが、それだけで特定できるはずもない。
翌朝、私は勤するふりをしてをると、あらかじめ予約を取っていた法律事務所へと向かった。 埼玉のターミナル駅くにある、婚と事事件を専に扱う弁護士の事務所だ。
迎えてくれたのは、物腰の柔らかそうな代の男性弁護士だった。
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私は持参した登記事項証、の返済予定表、そして昨見つけた千百万円の振込受領のコピーを机のに並べた。
弁護士は類を枚枚、ルーペを取りして丹に確認した。 そして、静かに顔をげた。
「……奥様。変ないをされましたね」
その言に、張り詰めていたの糸が千切れそうになった。 だが、私は奥歯を噛み締めて踏みとどまった。 今、泣いているじゃない。
「先。私は、どうなるんでしょうか。は夫の単独名義でした。私は登記簿に名がありません。、半分を払い続けてきたのに……私は円ももらえずに、に追いされるんでしょうか」
弁護士は、首を横に振った。
「いいえ。本の法律は、そこまで条理ではありません」
弁護士は元のメモ用にペンをらせた。
「確かに、産の所権そのものは登記名義であるご主にあります。ですから、ご主が第者に売却してしまった為自体を、無効にしてを取り戻すことは極めて困難です。買い取った会社は、正当な権利者ですから」
「……は、戻らないんですね」
「ええ。ですが、それは『売却代がご主のものになる』というではありません。婚姻期に夫婦の協力によって築かれた財産は、名義がどちらにあろうと【実質共財産】です。、奥様が事や仕事を担い、実際に返済原資を拠してきたのであれば、売却によって得られた純利益――残債を清算した約千百万円は、原則として夫婦で分のずつ分与されるべき対象です」
分の。 つまり、千百万円。
「そして、この千百万円の振込です」 弁護士は受取を指先で叩いた。
「使途、あるいは婚姻費用の当な流です。第者への贈与、あるいはへの資援助であれば、財産分与の倒し、もしくは法為として極めてい追及材料になります。奥様、この『浦織』という物に当たりは?」
「……全く、ありません」
「調べましょう。この額とタイミングからして、産の購入資に充てられた能性がい。ご主の周辺を洗う必があります」
事務所をたとき、埼玉のどんよりとした曇り空から、たいがぽつぽつとり始めていた。 私のには、弁護士から渡された受任通の控えと、これからのリストが握られていた。
戦うんだ。 の私のを、あんな男たちに踏み倒されてたまるものか。
数、弁護士の協力によって、驚くべき事実が判した。
浦織。歳。 夫の会社が取引している、都内の専商社に勤務する女性。 そして、旧宅が売却された直の令――彼女は、さいたま内の築浅古マンションのを、単独名義で購入していた。
販売価格、千百万円。