"月3万で罵られる妻と、私の会社から50万貰う秘書" 第14話
夫は私の腕を掴もうとを伸ばし、柳先に鋭く遮られると、そのに崩れ落ちるように膝をついた。
「真由……頼む、助けてくれ……! 告訴されたら、俺のは本当に終わりなんだ!」
くサラリーマンたちが、奇異の目で私たちを見つめて通り過ぎていく。 世体を何よりも気にしていた夫が、昼のオフィスで、なりふり構わず私を見げている。
「おしかいないんだ……! 婚届は破棄する! やり直そう! あの埼玉の世代宅だって、おの役員報酬でローンを払ってたんだろ!? だったら、あのの名義をおと俺の半分ずつに変えたっていい! 母さんにも度とおに答えさせない! だから……会社に『夫婦のの勘違いだった』と言ってくれ!」
額を面に擦り付けんばかりにして、夫は私のコートの裾を握りしめてきた。
そのは、刻みに、惨めに震えていた。
私は、膝をつく夫を、ただ静かに見ろした。 りも、憎しみも、通り過ぎていた。
そこにあったのは、ただ底れない軽蔑と、ら寒い虚しさだけだった。
「修さん」
私の乾いた声に、夫が縋るような目で顔をげた。
「……私の席は、もうあなたの隣にはないわ」
オフィスのに、夫・修を置きりにした。
背から私の名を呼ぶ鳴のような叫び声が聞こえていたが、度も振り返らなかった。 柳弁護士が呼び止めてくれたタクシーに乗り込むと、ドアがい音をてて閉まり、あの男の姿はスモークガラスの向こうへ消えた。
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膝のに置いた両が、微かに震えていた。 けれど、それは恐怖でも未練でもない。 く私のと体を縛り付けていた、錆びついた鎖が音をてて砕け散った震えだった。
「さん、これからが本当の始末です」 柳先が隣で、穏やかだが切の油断のない声で言った。
「あの男はすべてを失いますが、法な続きはを待ってくれません。宅ローンの清算、エム・クリエイティブの破産処理、そして婚付の確定。つずつ、確実にめましょう」
「はい」
私はく息を吸い込んだ。 胸の奥に澱んでいたのような苦しさが、しずつ引いていくのが分かった。
都企画のきは、残酷なまでにかった。
翌週曜、臨の取締役会が招集された。 修専務の解任が決議され、全役職の剥奪、および懲戒解雇処分がされた。 会社側は髪を容れず、業務横領および特別背任の容疑で警庁に告訴状を提した。
被害総額は、架空発注による正流用と使途をわせて約千百万円。 修が私や莉奈の座を経由して私腹を肥やしていた証拠は、都企画のサーバーログとの送履歴によって完全に裏付けられていた。
夫のスマートフォンは解約され、弁護士を通じた連絡すら滞りがちになった。 唯届くのは、柳法律事務所に送りつけられてくる、震える乱れた文字の嘆願だけだった。
『真由、頼むから告訴を取りげるよう会社にを利いてくれ』 『俺が悪かった。おの言う通りにする。母さんも泣いて謝ると言っている』
柳先はその面を読すると、無言でシュレッダーに放り込んだ。
「刑事事件の告訴は都企画です。あなたにそれを取りげる権限など最初からありません。あの男は、今自分が置かれている現実の法体系すら理解できていない」
徹な現実の鉄板が、夫の浅はかなプライドを容赦なく押し潰していた。
次に片付けるべきは、埼玉の世代宅だった。
夫の名義で組まれた宅ローン。 しかし、その々の返済額万千円は、私のエム・クリエイティブの役員報酬座から、にわたって自引き落としされていた。 総額にして、百万円以。
夫は職を失い、退職も祥事により全額支。 座は都企画からの損害賠償請求に伴う仮差押えを受け、宅ローンの返済は即座に焦げ付いた。
から届いた催告をに、夫は「あのはおの役員報酬で払っていたんだから、おが残りのローンを払ってみ続けろ」と見苦しい主張を繰りしてきた。
「甘いですね」 柳先はで笑った。
「産の登記名義は夫単独。