"月3万で罵られる妻と、私の会社から50万貰う秘書" 第13話
「実際の印刷は、度たりともわれていません。納品先とされている埼玉の物流センターは、の点で更になっています。……修さん、しない倉庫に、万部のパンフレットをどうやって納品したんですか?」
夫の顔から、急速に血の気が引いていった。 額から、粒の汗がポタポタとデスクに滴り落ちる。
「そ、それは……現の担当者がやったことで、俺はいちいち細かい仕様までは……」
「都企画の社内稟議システムで、この件の発注を最終決裁したのは、すべて専務、あなたのアカウントです」
柳弁護士が、徹な声で告発した。
「妻に『会社は潰した』と嘘をついて法格を乗っ取り、である佐伯氏を名目の窓にして架空発注を繰り返し、都企画から千万円以の資を詐取した。そして、そのの部をに与え、残りを自分の裏座と自宅の宅ローンに充てていた。……これが、事件の全貌です」
「ち、違う! 騙されるな!」 夫は子を蹴倒すようにちがった。
「佐伯! おい、莉奈! おからも言え! 全部真由の指示だったと、おが言ったんだろうが!」
夫の声が響く、莉奈はずっと震えていた。 その目は、完全に狂気に駆られた夫の形相に怯えきっていた。
「……佐伯さん」 私は静かに、彼女の名を呼んだ。
「あなたは修さんから『妻公認の特別なパートナー』だと吹き込まれていたのかもしれません。
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でも、あのはあなたに万を払う裏で、万を抜き取り、最にはあなたを『主犯の共謀者』として会社に差しす準備をしていました。……このままあのと緒に、業務横領と詐欺の共犯として警察にきますか?」
「莉奈! 余計なことを言うな!」 夫が机を乗り越えんばかりに叫んだ。
その瞬。
「……嘘つき!」
莉奈が、絶叫した。
化粧の崩れた顔をぐしゃぐしゃにして、彼女はバッグから自分のスマートフォンを引っ掴み、監査役のに叩きつけた。
「修さんに脅されていたんです! 『真由のせいにしろ、そうすれば都企画ので会社を作って、おを役員にしてやる』って! 毎の万円のキックバックも、『の将来のための貯だ』って言われて……! 全部、このの指示です! LINEの履歴も、通話の録音も、全部残ってます!」
「お……! 裏切るのか、莉奈ァッ!」
夫が莉奈の胸ぐらを掴もうとを伸ばした瞬、控えていた男性総務部員が、夫の腕を力づくでねじ伏せた。
「専務、そこまでだ!」 常勤監査役が、気を含んだ声でした。
類がび散り、静まり返った会議に、夫の荒い息遣いだけが響いていた。
「……修専務」 コンプライアンス委員が、氷のようにたい線を夫に向けた。
「本付で、貴殿の全役職および業務執権限を止します。社内調査委員会をちげ、業務横領および背任の容疑で、警察への刑事告訴続きに入ります。
……自席の荷物をまとめて、直ちに退館してください」
「ま、待ってください! 専務! 監査役! 俺はこの会社の営業を誰よりも引っ張ってきたんです! 俺を切ったら、来期の売はどうなるんですか!」
誰も、夫の言葉にを貸す者はいなかった。 役員たちは淡に目を逸らし、警備員が会議のドアをけた。
かつてあれほど誇らしげだった夫の背が、まるで空気が抜けたのように、惨めに縮こまっていった。
正午過ぎ。 都企画の正面エントランスをたところで、私は柳弁護士とち止まった。
晩の澄み切った青空が、層ビルのに広がっていた。 たいが、照った頬を撫でていく。
「……さん、見事でした」 柳先が、優しく微笑みかけてくれた。
「まだ都企画との損害賠償の精算や、エム・クリエイティブの正式な破産・清算続きは残っていますが……あなたが刑事責任を問われる能性は、これで極めてくなりました」
「ありがとうございます、先。……私、やっと息が吸えた気がします」
そのだった。
「真由……!」
背から、擦り切れたような叫び声が聞こえた。
振り返ると、ネクタイを歪ませ、着を脱ぎ捨てた夫が、血った目で駆け寄ってくるところだった。
警備員に追いされ、元にはボロボロの袋がつ。 あの傲だった男の面は、どこにもなかった。