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"月3万で罵られる妻と、私の会社から50万貰う秘書" 第11話

油とインクの匂いがち込める事務所で、髪の混じった田社が、いお茶をしてくれた。

「さん、お久しぶりです。急に連絡をいただいたから驚きましたよ」

「田社、突然押しかけて本当に申し訳ありません。……実は、の納品と見積の控えを確認させていただきたくて」

田社は怪訝な顔をしながらも、奥の庫からの元帳を引っ張りしてきてくれた。

「さんが直接持ってきてくれた案件は、この件だけですよ。区内ののショップカードと、バレエ教の発表会パンフレット。……さんの作る指示は本当に几帳面で、の目まで指定してくれたから助かったのを覚えてます」

「……そのの案件は、ありませんでしたか?」

「え? その? いや、さんからはそれっきりですよ。……あ、でもそういえば」 田社が顎にを当てた。

「の頃かな。都企画の若い男のが来てね。『エム・クリエイティブの件で、の納品と領収の束を分けてもらえないか』って言ってきたことがあったな。『社内の仮清算で使うから』って。もちろん、うちは正規の取引しかしないから、追い返したけどね」

背筋が、たくなった。

「その男のの特徴は……」

「背がくて、恰幅がよくて、いかにもやりってじの……あぁ、これだ」 田社が壁に貼ってあった業界誌の切り抜きを指差した。

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そこに写っていたのは、都企画の営業本部としてインタビューを受ける、夫・修の顔だった。

「……ありがとうございます、田社」

私はくをげた。

点と点が、繋がった。 夫は、本物の印刷会社に断られた、自で架空の伝票をでっちげていたのだ。

ホテルに戻った私は、莉奈から渡された請求データの束を、付順にスプレッドシートに打ち込み始めた。

都企画からエム・クリエイティブへ支払われた、平均百万円。 千百万円。 の累計は、千百万円を超えていた。

その費目を見る。 『季プロモーション用パンフレット印刷・製本代 百万円』 『展示会用什器配および図面作成費 百万円』

私は、印刷代の請求に目を凝らした。 仕様欄にかれた文字。

『ヴァンヌーボVG 判 180kg オフセット菊全判 4/4 万部』

……吹きしそうになった。

万部のオフセット印刷を、この額でできるわけがない。 代だけでがる。 しかも、納品先に指定されている倉庫は、半に閉鎖された埼玉の物流センターの所だった。

夫と莉奈は、ネットから拾った業界用語を適当に並べてて、もっともらしい数字を請求に貼り付けていただけだったのだ。 現をらないが作った、粗雑極まりない張り子の虎。

さらに、私はの座履歴を徹底に洗った。

莉奈の個座へ振り込まれた、毎万円。 その直の資移を、柳先を通じて弁護士会照会(23条照会)で追跡してもらった結果――

恐るべき事実が浮かびがった。

毎にエム・クリエイティブから莉奈の座へ万円が着すると、その、必ず「万円」が、見らぬ個名義のネット座へ送されていた。

座名義は、「ナカムラ シンジ」。

修の、くなった父親――つまり義父の名を使った、休眠座だった。

「……あの男」

鳥肌がった。

夫は、莉奈に「万の特別当をしている」と見栄を張り、として囲いながら、その実、裏で「経費の替精算」という名目で、毎万円を自分の裏座にキックバックさせていたのだ。

莉奈自もまた、夫に搾取されていたのだ。 自分だけは特別だと信じ込まされ、毎万円というに酔いしれながら、実際には夫のマネーロンダリングの具として使われていただけだった。

元に揃った、つの真実。

、都企画への請求は、実体のない完全な架空発注であること。 、その発注承認は、すべて都企画社内の修の決裁印によってりていること。 、流した資の部分は、莉奈の座を経由して、修個の裏座と、私名義の宅ローンへ還流していたこと。

準備は、った。

曜、午。 都企画株式会社・本社ビル。

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