"月3万で罵られる妻と、私の会社から50万貰う秘書" 第10話
面楚。 夫も、も、義母も。 全員が、私の首に縄をかけ、崖のへと突き落とそうとしていた。
玄関の引き戸をけた瞬、元に転がっていたのは、黒いゴミ袋と無造作にガムテープで留められたダンボール箱だった。
「……何、これ」
喉から絞りした私の声に、廊の奥から義母が顔をした。 には、私が使っていた洗面台のポーチが握られている。
「何って、あなたの荷物よ。犯罪者の荷物をいつまでも置いておくわけにはいかないでしょう」
義母はポーチをゴミ袋のに放り投げた。 プラスチックの鈍い音が、え切ったに響く。
「修から聞いたわよ。会社のを何千万も横領して、若い莉奈さんに全部押し付けようとしたんですってね。なんて浅ましい女なのかしら! 息子の世にを塗るだけじゃ飽きらず、刑務所にまでかせる気!?」
「……私は、横領なんてしていません」
「往際の悪い! 都企画から調査の通が届いたんでしょうが! あんな企業が、証拠もないのにを呼びすわけないでしょう!」
義母の甲い声が、狭い玄関に反響する。 所迷惑など微も気にしていない。 あるのは、「嫁を悪者に仕てげ、息子を被害者に据え置く」という狂信な執だけだった。
「にサインもしないで逃げ回るような恩らずは、今すぐてきなさい! 今から鍵も付け替えるからね!」
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バタン、と目ので内ドアが閉まり、内鍵が乱暴にかかる音がした。
私は、息を吸い込んだ。 たいの空気が、肺の奥を突き刺す。
泣き叫ぶことも、ドアを叩くこともしなかった。 そんなことをしても、このの歪んだ劇を引かせるだけだ。
私はしゃがみ込み、ダンボール箱の隙から、実印、預通帳、そして結婚の古い資料が入ったバインダーを抜き取った。 着と数着の着替えをボストンバッグに詰め込み、残りのゴミ袋には目もくれず、背を向けた。
スーパーのパートでしずつ貯めていた、へそくりの座がある。 残は万円。 ビジネスホテルに週泊まり、戦うための拠点を確保するには分だった。
さいたま内のビジネスホテルのシングルルーム。 ベッドのにノートパソコンを広げ、柳弁護士とスピーカー通話をつないでいた。
『佐伯莉奈の供述、読みました』 柳先の声は、く、険しかった。
『巧妙ですね。のあなたの直サイン入りの委任状を盾にして、「自分は代表の真由に逆らえなかったただの事務員だ」と主張している。都企画のコンプライアンスも、面の形式だけを見れば、代表取締役であるあなたを主犯だと疑わざるを得ない構造になっています』
「先……『何もらなかった』という主張は、やはり通らないんですね」
『通りません。法には、代表印を押したが責任を負うのが原則です。委任状を夫に渡してしまった点で、あなたにはい過失がある。……このまま監査に乗り込んでも、相の俵で嬲り殺しにされるだけです』
私は拳を握りしめた。 爪が掌にい込み、鋭い痛みがる。
……負けるわけにはいかない。 夫とが仕組んだこの汚の底に、私が沈められてたまるものか。
「先。戦い方を変えます」
『というと?』
「『らなかった』と逃げるのをやめます。、私が会社をちげて実際にかしていた期と、夫に奪われたの期を、完全に切りします」
私は机のに置いた、古い帳をいた。
「私は元々、印刷会社の見積もりと管理をやっていました。の銘柄、版データの仕様、オフセット印刷の程、実運賃の相……全部に入っています。エム・クリエイティブが都企画に請求していた『イベント制作費』の帳簿、全部精査させてください」
話の向こうで、柳先が息を呑む気配がした。
『……なるほど。相の作った虚構を、実務の現から解体するわけですね』
「はい。あのたちがプロの仕事をらない素なら、必ずどこかに致命なボロをしています」
翌、私はを乗り継ぎ、板区にあるさな印刷を訪ねた。 「田巧版印刷」
。
、私がエム・クリエイティブをちげた際、最初にのチラシ印刷を受けてくれた、職気質の古い取引先だ。