"十二年育てた姪に「人生を奪われた」と告発された" 第3話
をしたあの子を児科へ連れていくために、パート先へ何度もをげて退した。 が削られ、今の取りが万円減った細を見て、ため息をみ込んだ。 自分の物のコートは買い替えず、結にはしいダウンジャケットを着せた。 メガネの度がわなくなれば買い直し、部活の征があれば始発のにわせて朝に弁当箱を詰めた。
ノートには、私ののすべてが記録されていた。 「私は、あの子をい物になんてしていない」 声にして呟いた。 「ちゃんと、育てた。母親以に、私が育てた」
だが、ページをめくる指が、ある箇所で止まる。 姉からの振込欄。 毎、。きっちりと振り込まれる「タカセ レイコ」の文字。
私はいつのにか、この仕送りを「入ってきて当然の維持費」として処理していた。 そして、自分が銭を切った部分、自分がしたや化粧品の代だけを「私の犠牲」「私の無償の」として、ので肥化させていたのではないか。
引きしの奥にを突っ込んだ。 古びた製の引きし。 番の段の奥底から、通のい封筒がてきた。 宛名は「野結様」。 差は、瀬玲子。 に届き、私が結の目に触れるに抜き取った、あののだった。
封は切られていない。 切の貼られた封筒は、し湿気を吸って波打っていた。
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ピコン、と机ののスマートフォンが鳴る。 画面をくと、結からのLINEだった。
『、池袋で会える? 話がある』
逃げることはできない。 このを、持ってくべきなのか。 それとも、まだ「あなたのためをってやったことだ」と、言い訳を探し続けるのか。
胃の底がくねじれるような痛みに耐えながら、私はをバッグの底へと滑り込ませた。
翌の午、池袋駅のファミリーレストラン。 ドリンクバーの械がく唸る音と、周りの学たちの笑い声がやけにく聞こえる。
向かいの席に座る結は、黒いキャミソールにのカーディガンを羽織っていた。 川越にいた頃には着たこともないような、しびた。 髪にはほんのり甘いがつけられていて、それが姉の匂いとなって、胸が詰まる。
テーブルの央に、私はあの未封のを置いた。
結の線が、に落ちる。 「……これ、何?」
「歳のに、あなたのお母さんから届いた」 喉の奥にが詰まったような声を、なんとか押しす。 「読まずに、私が隠してた」
結のまつ毛が微かに震えた。 だが、驚いた様子はなかった。 ただ、え切った瞳で私を見つめている。
「やっぱりね」 く、乾いた声。 「あのLINEも、おばさんが送ったんでしょ」
私は、誤魔化す言葉を探そうとした。 『あの頃のあなたには、受験という事な期が控えていた』 『玲子はまたすぐに投げすかもしれないと、本気で配していた』 『環境を急に変えるのは、あなたのためにならないとった』
のに浮かぶ理由は、どれも正論の皮をかぶっていた。
けれど、目のにいる歳の結の瞳をにした瞬、すべての言い訳が嘘臭く剥がれ落ちていく。
「……怖かったのよ」 私のから、ってもみなかった言葉がこぼれ落ちた。 「あなたが、京にって……そのまま帰ってこなくなるのが、怖かった」
ファミレスの喧騒ので、その言だけが異常なほど々しく響いた。
「歳のから、私の毎は全部あなたの予定で回ってた。何に帰ってくるか、の持ち物は何があるか、それだけを考えてきてきた。……それを急に、あの子が迎えに来たからって、あっさり奪われるのが耐えられなかった」
けない告だった。 母親ぶって、子どものためだと言い張ってきたの底にあったのは、ただの孤独への怯えだった。
結は、に触れようともしなかった。 ただ、じっと私を見つめたまま、静かに言った。
「おばさん、あの私に何て言ったか覚えてる?」
臓がねる。
「『ママはね、しい仕事が忙しくて、今のも会えないんだって』って言ったんだよ」 結の声が、かすかに震え始めた。 「私はね、自分から断ったんじゃなくて、またお母さんに断られたんだとってた。……ずっと、そうってきてきたの」