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"「明日から母をやめます」結婚前夜、席次表を消した私" 第2話

「……がわかんない。何なのそれ、当てつけ? 私の結婚式だよ!? に度のれ台なんだよ!?」

「それから」

私は娘のヒステリックな叫びを遮った。

「結婚式が終わったら、私、お父さんと婚するわ」

奈央の呼吸が止まった。 を半きにしたまま、直している。

「……うそでしょ」

「本当よ。もうむ部も契約した。荷物もしずつ運びしてる」

ボロボロと、奈央の目から粒の涙がこぼれ落ちた。 子供の頃から、自分のい通りにならないに決まって流す、あの涙だった。

「なんで……なんで今なのよ! 私の結婚式が終わるまで待てなかったの!? なんでなのよ!」

「、待ったの」

私は静かに言った。

「あなたがちするまで。誰からもろ指を指されないになるまで。私は、待ったのよ」

奈央は泣いていた。 だが、その涙を拭おうともせず、急にピタリとしゃくりあげるのをやめた。

に落ちた線が、ゆっくりと私へと持ちがる。

その瞳に宿っていたのは、しみではなかった。 父親そっくりの、たく濁った侮蔑とりだった。

「……ふざけないでよ」

奈央の声が、く震えていた。

「自分だけが被害者面して。母親ぶって恩に着せて、番事なに私に恥をかかせる気?」

「恥をかかせるつもりはないわ。ただ、あなたの都のいい『母親』をりるだけ」

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「いいよ。わかった」

奈央は席次表を乱暴にひったくった。

「、絶対に悔しないでよ。あんたができていけるわけないんだから」

ドアが激しい音をてて閉まり、のに苦しい沈黙が戻った。

私は、テーブルのに残されたペンのキャップを拾いげた。 指先はえ切っていたけれど、議と震えてはいなかった。

翌朝、の空は皮肉なほど抜けるように青かった。

都内の格式いホテル。 吹き抜けのロビーには豪華なが飾られ、華やかなドレスや留袖にを包んだ々がき交っている。

私は、な紺のフォーマルスーツを着ていた。 郎婦の母親が着るべき、あの格式い黒留袖ではない。

「森本様、本当によろしいのですか……?」

クロークので、ウェディングプランナーの女性が困惑しきった顔で私に声で尋ねてきた。 朝番で私が席の変更を申したため、現は混乱したはずだ。

「ええ。ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。ですが、これで通してください」

私の席は、披宴会の最列。 音響ブースのすぐ隣、親族席からは最もい、会の隅に用されていた。

扉がき、招待客が次々と席についていく。 親族席の方から、ひそひそとしたざわめきが私のにも届いた。

「ねえ、佳代さんは? なんであそこに座ってないの?」

「留袖も着てないじゃない。どういうこと?」

夫の俊彦は、婦の父親として、砂の向かいにある親族席の最列に陣取っていた。 その隣の子は、ぽっかりと自然に空いている。

俊彦の横顔は、目からでもわかるほどりで赤黒く引き攣っていた。 世体を何よりもんじる男だ。 流企業の部として定を迎え、親戚や部ので「完璧な父親」を演じることがの全てだった男。

そのプライドが、私のによって音をてて削り取られている。 俊彦の徹な線が、会の端に座る私を射抜いた。 『あとでタダじゃ済まさないぞ』 声にさずとも、その唇のきで痛いほど伝わってきた。

やがて厳かに扉がき、郎の亮介さんと、純のウェディングドレスを纏った奈央が入してきた。

盛な拍。 スポットライトを浴びる奈央は、誰もが見惚れるほど美しかった。 入れのき届いた肌、完璧なメイク、華やかな笑顔。 その姿を見て、胸の奥がきゅっと痛んだ。

あのさな、泣き虫だった歳の女の子。 初めて「お母さん」と呼んでくれたの、ぎこちない笑顔。

あの々は、嘘ではなかった。 私が注いできたは、決して偽物ではなかったはずだ。

けれど。 彼女が求めていたのは「私」というではなく、自分のを美しく彩り、都よく支え続ける「無償の母親」

という能に過ぎなかったのだ。

披宴は、滞りなくんでいった。 豪華な料理、友たちの余興、司の紋切り型の祝辞。

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