"夫が私を退職させた翌朝、会社は夫を呼び出した" 第11話
「ひ……っ!」
「本社が今、番血になって調べているのが何かわかるか? なぜ、アレルゲンの疑いがある原料が引に通され、なぜ、実績もない君の会社に割な資材発注がりていたかという、正取引のルートだよ」
田島は歪んだ屑を、健の胸元へ放り投げた。
「ミツワ品はね、内部通報者の配偶者が経営する疑惑の会社と、取引を継続するほどお好しじゃないんだよ。佐藤パッケージングの業者登録は、先ほど本社システムから完全に抹消された」
「そ、そんな……! 田島さん! 約束が違うじゃないですか! 俺はあんたに言われた通り、あいつのパソコンから退職届を送って……!」
「黙れ!」
田島がく、しかし骨を砕くような声で鳴りつけた。
「私がいつそんなことを頼んだ? 君が勝にやったことだろうが。正アクセス禁止法違反で警察に突きされたくないなら、度と私のに現れるな」
田島は千円札を枚テーブルに叩きつけると、健を瞥もせず、個をてった。 引き戸が閉まる乾いた音が、健のの奥で爆発した。
健は、個の畳のに膝をついた。 喉がヒューヒューと鳴り、呼吸ができない。 元から、世界が音をてて崩れ落ちていく。
百万円の段ボール。 曜に落ちる形。 母の。 自宅のローン。
そのだった。
テーブルのに置かれた健のスマートフォンが、けたたましいバイブレーションを響かせた。
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画面に表示されたのは、元の見らぬ局番。
健は震える指で通話ボタンをスワイプした。
「も、もしもし……」
『佐藤健様のお話でよろしいでしょうか』
械で、淡な女性の声だった。
『私、由美様の代理を務めております、弁護士のと申します。本、佐藤パッケージングの事務所およびご自宅宛に、婚姻費用分担請求ならびに、別居に伴う財産保全の続き類を内容証郵便にて発送いたしましたので、ご通申しげます』
「べ、弁護士……? 財産保全……?」
『はい。なお、由美様が共名義となっておりますご自宅の産、ならびに由美様が管理されていたご実の相続資産座につきましては、切の処分および担保設定が法に制限されました。また、奥様の業務用端末への正アクセス為につきましても、現、所轄の警察署へ相談をめております』
「待て……待ってくれ! 俺たちは夫婦だぞ! 話しいを……!」
『今はすべて、当職を通していただきますようお願いいたします。それでは』
ツーツーツー、と無質な子音がの奥に突き刺さる。
健のから、スマートフォンが滑り落ちた。 畳のに転がった画面のが、握りつぶされた契約の残骸を、々と照らししていた。
本社から派遣された査問委員会の会議は、息が詰まるほど狭く、寒々としていた。
ブラインドの隙から差し込む午のが、机のに並べられた分い検査報告を々と照らしている。
「佐藤主任。半の、この初期評価に押印したのは、あなたですね」
正面に座るコンプライアンス統括の声は、の起伏が削ぎ落とされていた。 元に置かれた枚の。 朱の認印。
私の名。
胃の奥がたくいを呑み込んだように沈む。 両を膝ので揃え、爪がのひらにい込むほどく握りしめた。
「はい。私の印鑑です」
声は震えなかった。 言い訳を探すための沈黙も挟まなかった。
「当、監査対応と庭の事がなり、追認類の提を提とした条件付きの指示のみで押印いたしました。その、本製造に至るまでのフォローアップを怠ったことは、品質管理責任者としてのらかな職務怠です」
がわずかに眉をかした。 その隣に座る法務部の弁護士が、鏡の奥から鋭い線を私に向ける。
「会社に対して異議申してや、状酌量の余を求める図は?」
「ありません」
私は背筋を伸ばし、真っ直ぐにの目を見据えた。
「いかなる処分も受け入れます。ただし、当該ロットの自主回収および製造止の措置だけは、絶対に撤回しないでください。アジアの混載プラントに起因するピーナッツアレルゲンの混入は、数値、確実にアナフィラキシーを引き起こすレベルです」