"夫が私を退職させた翌朝、会社は夫を呼び出した" 第10話
は、方の主任がアポなしで乗り込んできたことに困惑のを隠せなかった。
私はくをげ、持参したいファイルをテーブルのに差しした。
「の田島を通さず、規定のホットラインを越境して参りましたことをお詫び申しげます。ですが、刻を争います」
私は顔をげ、の目を真っ直ぐに見つめた。
「本荷予定だった主力商品に、未表示のアレルゲン混入のな証拠があります。そして、それを半に見逃したのは、私自です。私への懲戒続きの始と、当該製品の全量廃棄・回収を、緊急請いたします」
が目を見張り、弁護士が素く検査結果の数値に目をらせた。 部のの空気が、瞬で凍りついた。
そのの午、の空気は変していた。
本社から急した監察チームの黒塗りのが台、の正面玄関に滑り込んだ。 田島は即、権限を止され、別で本社の法務担当による査問を受けることになった。
全製造ラインの完全止。 荷ヤードに積まれていた万箱の段ボールには、黄いキープテープが何にも巻きつけられた。
だが、それは勝利などではなかった。
夕方、私が本社からの指示で現の類理のためにへ戻ると、待っていたのは同僚たちの酷な線だった。
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更のドアをけた瞬、それまで聞こえていた話し声がピタリと止まる。
「……自分から本社にチクったらしいわよ」 「半、自分が判を押したくせにね」 「ラインが止まったせいで、私たちののボーナス、どうなるのよ」
誰も、私と目をわせようとはしなかった。 ロッカーの鍵をける私のの震えを、周囲のはややかな沈黙で見つめていた。
正しさを貫くことの代償は、拍や謝ではない。 組織の痛みをに背負い、孤無援の沼に沈むことなのだ。
胃の底が、鉛を呑み込んだようにかった。 それでも、私は逃げなかった。
同じの午。 からで分ほどの所にある、末の居酒。
赤提灯がに揺れる暗い個で、健はビールのグラスを両で握りしめ、脂汗の浮かんだ額を拭っていた。
向かいの席には、コートを着たままの田島が座っている。 いつもなら尊にふんぞり返っているはずの田島は、ネクタイを緩め、氷の溶け切った割りを無言で煽っていた。
「田島さん、お疲れ様です……!」
健は媚びるような笑みを浮かべ、テーブルのに真しいクリアファイルを差しした。
「由美のやつ、をてきましたよ。弁護士だか政士だかをてて調子に乗ってますが、座も全部止めてやりましたから、もすりゃ泣きついてきますよ。
あいつが錯乱して勝にやったことだって、俺がいくらでもきますから!」
健はのめりになり、ファイルから枚の契約を引っ張りした。 『装段ボールおよび緩衝材 供基本契約』
「ですから田島さん、この契約に判を……。のラインさえけば、うちの段ボールを予定通り納品させていただけますよね? の仕入れ先への形が、もう今週曜に落ちるんです。これがないと、本当にうちは……」
カチャリ、と氷がグラスの底で鳴った。
田島は、健の差しした契約に線すら落とさなかった。 ゆっくりと顔をげると、その目は充血し、底れない侮蔑と苛ちに濁っていた。
「……佐藤くん」
「は、はい!」
「君、自分の妻の首つ、絞め落とせなかったのかね」
健の笑顔が、ぴきりと引きつった。
「え……?」
田島は煙の煙を、健の顔に向けて吐きした。
「由美さんはね、今朝番で京の本社に乗り込んだよ。自分の始末を片に、部の検査データまで揃えてね。おかげでコンプライアンスがに乗り込んできて、私のパソコンも全部押収された」
「な……本、社……?」
「原料のアレルゲン混入は確定だ。あの製品は全量廃棄。の今期の利益は全部吹きんだよ。私は来週の取締役会で、を解任されるだろうね」
田島は、テーブルのの契約を指先でつまみげた。
そして、健の目ので、くしゃりと乱暴に握りつぶした。