"娘を救った担任に、娘が叫んだ「信じるな」" 第14話
胸の奥に広がっていたのは、ただたくい、鉛のような虚無だけだった。
なぜなら、私と娘の罪は、何つ消えていなかったからだ。
教育委員会での対決から、週が過ぎた。
のは急速にたさを増し、の葉を容赦なく散らしていた。
自宅マンションのポストには、連、差のない誹謗傷のが投げ込まれていた。 ネットの炎はすぐには鎮しなかった。 私が良かれとって保護者に渡した付箋の画像は、デジタルタトゥーとしてネットのを漂い続け、学名と娘の名字、そしてさんの名を晒し続けていた。
唯さんは、命を取り留めたものの、精神科の閉鎖病棟へ転院したと聞いた。 面会すら許されない。 当然だった。 さんの両親からは、弁護士を通じて「度と接触するな」という内容証が届いていた。 慰謝料の請求にも、私は無条件で応じる続きをめていた。
「お母さん」
暗いリビングで、結がポツリと声をかけてきた。 制はもう、着ていない。 学からは席止と別登の措置が取られ、結は自で通信制の学習プリントを解く毎を送っていた。
「紗奈ちゃんのお母さんから……連絡、あった?」
「……ううん」
私は静かに首を横に振った。
教育委員会が半の処分を見直し、紗奈ちゃんに対する方な席止処分を取り消したという通は届いていた。
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だが、壊れてしまった族のは戻らない。 紗奈ちゃんのお父さんは会社を辞め、は栃の奥で、息を潜めるように暮らしている。 私から送った謝罪のは、度も封されることなく、受取拒否で送り返されてきていた。
結は膝を抱え、さく震えていた。
「誰も……許してくれないね」
「そうね」
私は嘘をつかなかった。 「丈夫よ」とも、「いつか分かってくれる」とも言わなかった。 っぽい慰めは、傷に塩を塗るだけの残酷な欺瞞だと、この数週で痛いほどいらされていたからだ。
「結、は教育委員会の第者委員会で、あなたの聞き取り調査があるわ。……ける?」
結は顔をげず、たださく、こくりと頷いた。
翌、役所の別館でわれた調査で、結は弁護士と理カウンセラーの同席のもと、すべてを話した。 半、ファミレスで悪を見て笑ったこと。 先に脅されて、怖くなって嘘の証言をしたこと。 自分の罪悪から逃げるために、紗奈ちゃんの元へ逃げ、さんのへ押しかけて、さらに相を追い詰めてしまったこと。
結は度も言い訳をしなかった。 の顔を窺うこともなく、ボロボロと涙を流しながら、自分ので、自分の犯した過ちを言葉にしていった。
その横顔を見つめながら、私は初めて、娘が自分ので獄の底にっているのをじていた。
守るべきい子供ではなく、の加害者として、自分の罪のさに耐えようとしている姿だった。
が過ぎ、が解け始めたの末。
教育委員会から、最終調査報告が公表された。 テレビのローカルニュースでも、くその結果が報じられた。
藤原教諭は、徒指導における適切な圧力と、事案における職務怠・隠蔽により、職ヶの懲戒処分。依願退職の形で教壇をることが決まった。 と教にも、減の処分がされた。
半の事件は「複数の徒による複な報拡散」として公記録がき改められ、学側の杜撰な隠蔽体質が厳しく指弾された。
だが、世がそれをったところで、何かが劇に好転するわけではなかった。
唯さんが学に戻ってくることはなかった。 謝罪のも、解の儀式も、最初から用されていなかった。 傷つけられたが、加害者を救済するために「許してあげる」必など、どこにもないのだ。
そして、娘もまた。 からの学期、元の教に戻ることは選ばなかった。 隣町の、公のフリースクールへ転する続きを終えたばかりだった。
引っ越しの準備がむリビングで、段ボール箱に囲まれながら、で簡単な夕をとっていた。 コンビニの弁当と、スーパーの特売の噌汁。
テレビの音を消した部には、をるの音だけが静かに響いている。