"娘を救った担任に、娘が叫んだ「信じるな」" 第5話
すべてを諦め、をすり潰したの目だった。
「半、職員の隣の相談に呼ばれたの。私と結と、藤原先のだけ」
がまる。 根を叩く滴の音が、まるで誰かが蓋骨を叩いているかのように響く。
「さんの裏アカウントのスクショ。誰が最初に学のグループに流したか、先は血になって探してた。でもね、あのアカウントを最初に見つけて、面半分で広めたのは、私じゃない」
紗奈ちゃんの細い指先が、ドアの縁にくい込んでいく。
「結もいた。のクラスの子もいた。みんなで放課、ファミレスのドリンクバーで画面見ながら笑ってたの。『うわ、こいつ裏でこんなこといてる』って」
胃のあたりが、ギューッと音をてて縮みがった。 指先から血の気が引いていくのが分かる。
「でも、さんの親が警察に相談するって学に鳴り込んできた。教育委員会にも話がくって騒ぎになった。その、藤原先がなんて言ったとう?」
紗奈ちゃんは、嘲笑うように元を歪めた。
「『林さん、あなたが全部やったことにしなさい』って」
……は? 何を言っているの? 先が? 徒に?
「『全員を処分したら、学全体の内申に傷がつく。さんのの傷を最限にするためにも、責任の所をはっきりさせなきゃいけない。
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あなたが認めて転すれば、の子たちは守られるのよ』って」
の奥で、ドクン、ドクンと激しい音だけが暴れている。
「私は嫌だって泣いた。なんで私だけなのって叫んだ。そしたらね、先は結の方を向いて言ったの」
『さん、あなたが見た通りを話しなさい。林さんがでスマホを操作して、画像を送信しているのを見たわね?』
「結はね、震えてた。最初は泣いて首を横に振ってた。でも、先が『あなたはお母さんをしませたくないでしょう? 母子庭で、お母さんがこれ以苦労したらどうなるか分かるわね?』って元で囁いた瞬——」
紗奈ちゃんの瞳に、真っ黒な憎悪が揺らめいた。
「結は、私の目を見ながら頷いたの。『はい、紗奈ちゃんがでやってるのを見ました』って。先が用したに、自分の名をいた」
「やめて……」
私のから、無様な懇願が漏れた。 聞きたくなかった。 聞くはずではなかった。
「その枚で、私は犯罪者扱い。親は仕事を辞めて、ここに逃げてきた。……ねえ、おばさん。結は、ここに何をしに来たとう?」
紗奈ちゃんが歩、ドアの隙に顔をづけた。 温かい息が、私の頬にかかる。
「『ごめんなさい、私、先に言われた通りにしただけなの』って。座して泣きついてきたよ。自分の罪悪を消したいだけの、汚い自己満のためにね」
「紗奈! 誰と話してるの!」
奥の暗い廊から、鋭い鳴のような声が響いた。 サンダルを引きずる音。 現れたのは、ひどく痩せこけ、髪を乱した林理恵さんだった。 かつてPTAの役員会で、いつも朗らかに笑っていたあの面は、見るもなく削ぎ落とされていた。
理恵さんはドアの隙から私の顔を認めるなり、般若のような形相で娘を引き戻した。
「さん……!? なんで……なんであなたがここにいるのよ!」
「理恵さん、あの、結が——」
「帰って!!」
引き戸を揺るがすほどの声だった。
「どの面げてここに来たの!? あなたの娘が嘘をついたおかげで、うちは全部めちゃくちゃになったのよ! 主は鬱になって休職して、私たちは親戚のにを寄せて……! これ以、うちの子を玩具にしないで!」
「違うんです、私はただ、事実を——」
「警察を呼びますよ! 今すぐ消えて!」
バダンッ!
激しい破裂音とともに引き戸が閉ざされ、内側から激しく鍵がかけられた。 続いて、い閂が落とされる音が響く。
静寂。 叩きつけるようなの音だけが、夜の宅に取り残された私を打ち据えていた。
傘を持つが、痙攣するように震えていた。 全から汗が噴きし、それがと混ざりってをたく濡らしていく。
娘が、嘘をついた? 親友を代わりにして、自分だけ助かった?
「……嘘よ」
暗ので、独り言がからこぼれた。
信じられるはずがない。 あの子が、私の育てた結が、そんなおぞましいことをするはずがない。
だけど。