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"娘を救った担任に、娘が叫んだ「信じるな」" 第4話

そして、その決定打となったのが、結の証言だった。

『紗奈ちゃんが、休みにスマホを見せながら、あの子の悪を言っていたのを聞きました』

藤原先が作成した指導記録には、結の署名とともに、そう記されていた。 結の証言によって、紗奈ちゃんの連の為は「悪質な単独犯による嫌がらせ」として処理された。 藤原先は「これ以、被害者の傷を広げないための迅速な幕引き」として保護者会でをげ、紗奈ちゃんは逃げるように学をった。

あの、結はで言もその事件について話さなかった。 ただ、紗奈ちゃんが転した翌から、結の数は目に見えて減っていったのだ。

……結は、何を確かめにったの? あの証言に、何か嘘があったというの?

インターチェンジをり、ナビの画面だけを頼りに、灯のまばらな田舎をる。 雑林に囲まれた細いの奥に、古びた造の平がぽつんと佇んでいた。

表札には、かすれた文字で「林」とある。

を止め、エンジンを切ると、静寂がを刺した。 が傘を打つ音だけが響く。

私は呼吸を度し、軋む製の引き戸のにち、インターホンを押した。 ジリジリと、く鈍い音が夜の底に響く。

反応はない。 もう度押す。

やがて、をすりで歩く気配がした。 内側の鍵がガチャリとれ、引き戸が数センチだけいた。

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太い鉄のドアチェーンがかかっている。 その隙から、暗い玄関のかりに照らしされた顔があった。

息が止まりそうになった。

半に見た、真爛漫だった面はどこにもなかった。 頬はこけ、気を失った瞳の奥に、澱のような暗いを宿した女。 林紗奈ちゃんだった。

「……誰?」

く、警戒に満ちた声。

「紗奈ちゃん……私よ。結の、母です」

私の言葉を聞いた瞬、女の瞳がわずかに見かれた。 だが、次の瞬、その唇の端が、歪んだ嘲笑の形に持ちがった。

「……結の、お母さん?」

「夜遅くに本当にごめんなさい。どうしても、聞かなきゃいけないことがあって……。結が、、ここに来たでしょう?」

紗奈ちゃんは何も答えない。ただ、え切った目で私を見つめ返してくる。

「結がね、学の集会で叫んだの。藤原先は最初から全部ってたって。……お願い、紗奈ちゃん。結とあの、何があったの? 先があなたたちに、何かしたの? 脅されていたの?」

必でチェーンの隙に顔を寄せ、懇願するように問いかけた。 藤原先が、自分の保のために徒たちを脅迫していた——。 そうであってほしかった。 先が悪者で、娘はその被害者なのだと、そう信じたかった。

だが、返ってきたのは、私の臓を素で握りつぶすような言だった。

「脅された?」

紗奈ちゃんは、乾いた喉からく息を吐きして笑った。

「何言ってるの、おばさん。結から何も聞いてないの?」

「……え?」

「結はね、謝りに来ただけだよ。自分がしたことに耐えられなくなって、ここまで逃げてきたの」

のが真っになった。 の音が、急にくなる。

「自分が……したこと?」

「そうだよ」

紗奈ちゃんはドアの隙から、氷のようにたい線を私に突き刺した。

「半、徒指導で……藤原先に言われるがまま話をわせて、私が全部やりましたって証言に判を押して、私を代わりにして崖から突き落としたのは——」

女の唇が、残酷な真実を紡ぎす。

「でもない、おばさんの娘の、結だよ」

の音だけが、の奥で鳴りのように反響していた。

「……結が?」

喉から絞りした声は、自分のものではないように掠れていた。 目のにつ紗奈ちゃんの輪郭が、玄関灯の暗い黄ので滲む。

嘘だ。 あり得ない。 あのしくて、虫も殺せないような結が? 毎晩、私の顔を窺いながら「お母さん、疲れてない?」と麦茶を淹れてくれる、あの優しい娘が?

「嘘よ……何かの違いでしょう? 結はあなたの親友だったじゃない。ずっと、あなたが転してからも配して——」

「配?」

紗奈ちゃんが、乾いた笑い声をてた。 ドアチェーンが、ジャラリと鈍い属音を鳴らす。

「あのね、おばさん。結は度も、私のことなんて配してないよ」

え切った球が、私を射抜いていた。 歳の女が浮かべる表ではない。

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