"特上寿司と、消えた妻の半年" 第7話
「夜遅くに脂っこいお肉をたくさんべると、太るでしょう? あなたのためをって減らしてあげたのよ」
私は自分のい腹部を見ろした。入社以来、私の体はキロで、このほとんど変していない。
私は救いを求めて、卓の向かいに座る公平を見つめた。
公平はえたビールのグラスをにしたまま、面そうにニヤニヤと角を吊りげ、こう言ったのだ。
「母さんなりに、おの健康を気遣ってくれてるんじゃないの? よかったじゃん」
そう言って公平は、自分の皿から番きな唐揚げをひょいとつまみ、で平らげた。私の皿へ個分けてくれることすら、しなかった。
よしえは箸の先で、私の皿の千切りキャベツを突いた。
「女のはね、を過ぎたらあっというに醜く太るんだから。で働く公平の妻として、恥ずかしい姿を晒さないように体型管理くらいしっかりしなさいね」
「厳しいねえ、母さんは」と、公平は事のようにゲラゲラと笑った。
そのの鶏肉は、夜に私個のクレジットカードを使ってネットスーパーから配達させた、国産若鶏のもも肉キログラムだった。キロあれば、般なきさの唐揚げなら個く作れる計算になる。
今、の皿に乗っている唐揚げをすべてしわせても、個しかない。
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残りの個以の唐揚げは、体どこへ消えたのか。
よしえは満ちりた表で、息子の横顔を慈しむように見つめていた。
私は何も言い返さず、え切った個の唐揚げと、ドレッシングもかかっていないキャベツのを、無言で胃袋のへ流し込んだ。翌の昼、蔵庫のタッパーをけてみると、残っていたはずの唐揚げはすべて消えっていた。よしえの昼のおかずとして、綺麗に胃袋に収まったのだろう。
それまでのよしえの嫌がらせは、言葉による精神な攻撃だった。言葉であれば、を麻痺させて聞き流すこともできた。
だが、この夜を境に、嫌がらせは「卓の皿の」という、目に見える物理な暴力へと形を変えたのだ。
皿のの数字の差は、誰の目にもだ。誰が見ても条理であるにもかかわらず、夫はその暴力を目ので見て笑い、母親を擁護する。それこそが、このにおいて私が畜以の階層に置かれていることを示す、かぬ証拠だった。
の終わり、私はもう度だけ、最の望みを託して公平に切りした。
「お母さんがうちに来てから、もうとヶが過ぎたわ。最初の約束は半だったはずよね。お願いだから、度きちんとお母さんと、これからの活について話しってくれない?」
ベッドので、公平は腕を組み、しばらく井を睨みつけていたが、やがていついたようにポンとを打った。
「あ、そうだ。来のお盆、初枝叔母さんがうちに線をあげに来るだろ? あのがいるに、あっちのの話を切りせばさ、母さんも叔母さんの言うことなら昔から聞くからさ。お盆にみんなで話そう」
初枝さんは、よしえの歳の実の妹だった。くなった義父の初盆のにも線をあげに来てくれたで、気がく理尽なよしえに対して、唯対等に苦言を呈することができる親族だと、の義父から聞いたことがあった。
「……わかったわ。お盆にお願いね」
公平が自発に具体な提案をしてくれたことに、私は胸のつかえがしだけりるような錯覚を覚えていた。
のお盆の午、初枝さんががを訪れた。
「麻子さん、いつも姉さんがご厄介になって、本当にごめんなさいね」
玄関で々とをげてくれた初枝さんは、涼しげな級羊羹の詰めわせを私に渡してくれた。このに同居が始まって以来、私に対してのとして労いと謝の言葉をかけてくれた親族は、初枝さんが初めてだった。
客の窓際に置かれたさな仏壇に線をあげた初枝さんは、煙がちる仏壇の横に、放置されたまま積みがっているよしえのダンボール箱のに目を留め、怪訝そうに眉をひそめた。
「姉さん、この仏壇、いつまでこっちに置いておくつもりなの? あっちのにく戻さないと、ご先祖様に申し訳ないじゃない」