"妻の葬儀の夜、義母が外した指輪と娘の写真" 第7話
ることを諦めた妻。必とされることへしがみつく義母。カメラのろへ隠れる娘。
修が言った。
「写真は怖いな」
咲がカメラから顔をげた。
「どうして?」
修はガラスを見た。
「瞬だけを切り取って、それが全部だったように見せる」
咲から目を逸らした。
「違うよ。写真は瞬しか撮れないって、最初から言ってる」
咲はたく言った。
「全部だとい込むのは、見るの方」
修はその言葉を笑って流した。
半、自分が1枚の写真から逃げられなくなることを、まだらなかった。
プレゼンの、役員たちはくのレストランで祝杯をあげた。
修はノンアルコールの炭酸をにし、央の席に座った。
専務が気遣うように言った。
「社、今は病院へお戻りになるんですよね」
修は頷いた。
「もちろんです」
専務はしたように言った。
「本当にががります。仕事も庭も、どちらもを抜かない」
周囲が頷いた。
修はグラスをへ運んだ。
舌ので泡が弾けた。
を抜いていないという言葉は議だった。
修は確かに誰より働いていた。
病院にも毎顔をし、必な費用は惜しまなかった。
しかし、を抜かないこととを置いていくことは両する。
予定を埋め、支払いを済ませ、医師の名を覚え、最良の治療を探しながら、そのの震えるを握らないこともできる。
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誰もその違いを測ることはできなかった。
若い部が言った。
「奥様は社がいていでしょう」
修は、病で美保がにした「本当に」をいした。
修は微笑んだ。
「妻はいです」
そう答えた。
それは妻への賛辞に聞こえた。
実際には、自分がくても彼女なら耐えられるというの甘えだった。
結婚した頃から、美保は修の無理を責めなかった。
設計事務所をちげた最初の5、帰宅が午2過ぎることもかった。
美保は玄関のかりをつけ、鍋にスープを残した。
咲がをした夜も、保育園の面談も、親戚への連絡も自分で引き受けた。
修がすまないと言うと、いつも彼女は笑った。
「あなたの仕事が番事だから」
その言葉を修は理解だとった。
美保が何も求めない女なのだとった。
だが本当は、求めても届かないと学んだは、やがて求めること自体をやめる。
諦めはに、優しさと同じ顔をする。
会を途で抜け、修は会社の執務へ戻った。
壁面の棚には、受賞した建築模型と専が並んでいる。
机の端には、3の族写真があった。
修の50歳を祝った夜、美保はワインレッドのドレスを着ていた。
咲はカメラのタイマーを使い、3で肩を寄せている。
写真のの修は、2の女に囲まれ、満たされた男に見えた。
その、美保は卓で1つだけ頼み事をした。
「来は、2でどこかへかない?」
修は答えた。
「もちろん。落ち着いたら」
何が落ち着けばいいのか決めなかった。
規案件、事の改変。
世界には、夫婦のより先に片付けるべきことが無限にあるように見えた。
翌、美保の病気が見つかった。
2きりの旅は1度も実現しなかった。
修は写真を伏せた。
その、秘がノックした。
「社、病院へお持ちになるものを用しました」
袋には、柔らかな靴、蓋つきの保温マグ、ストロー付きのカップが入っていた。
秘が美保の病状を調べて選んだものだった。
修は礼を言い、袋を受け取った。
「ありがとう」
自分で選んでいないことを、美保は気づくだろう。
それでも忘れるよりはいい。
修はそう考えた。
を正確に配された業務へ変える。
それは彼が最も得とする方法だった。
病院へ向かう、修は麗子の番号をいた。
件はなかった。
美保の状態なら、すでにメッセージでっている。
それでも声を聞きたかった。
話は3回鳴って繋がった。
麗子は声だった。
「どうしたの?」
修は尋ねた。
「今、話せますか?」
麗子が答えた。
「美保が寝たところ」
修は息を吐いた。
「あなたはべましたか?」
話の向こうでわずかながあった。
麗子が聞いた。
「私の配?」
修は慌てて付けした。
「倒れられたら困ります」
麗子は静かに問い返した。
「誰が困るの?」
修は答えを選べなかった。