"妻の葬儀の夜、義母が外した指輪と娘の写真" 第5話
記事には、美保の許を得て撮った夫婦の写真も載っていた。
修が子のろにち、美保の肩へを置いている。
美保はい子をかぶり、穏やかに笑っている。
誰が見ても支えう夫婦だった。
写真は嘘をついていなかった。
その瞬、修は確かに妻の肩へ触れていた。
美保も確かに笑っていた。
ただ写真に写らない所で、そのが何度れたのか。
笑顔の直まで美保が何をみ込んでいたのか。
それを写真は語らなかった。
広報担当者が尋ねた。
「奥様の具はいかがですか?」
修は表を引き締めた。
「治療は厳しいですが、本がいですから。私もできる限りそばにいます」
言葉は滑らかにた。
嘘ではない。
修は毎病院へ来ていた。
朝、社の20分。
昼、会議のの15分。
夜、医師の説があるには1。
記録だけを見れば献な夫だった。
ただし、美保が吐き気でを折る。
薬の副作用で眠れず暗い井を見つめる。
自分のでトイレまでけず、護師を呼ぶか迷う。
そういうには、修は抵な仕事を抱えていた。
仕事はいつも本当にだった。
建築現では1つの判断の遅れが数千万円の損失になる。
社員は200いた。
彼の署名を待つ類があり、彼の決断を待つがあった。
だから修は病院をる度、自分へ言い聞かせた。
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逃げているのではない、責任を果たしているのだと。
病へ入る、修はガラスに映る自分を見た。
ネクタイの位置を直す。
ジャケットの襟をえる。
疲れを見せない顔を作る。
の指輪へ無識に触れる。
それは約束というより、役柄を確認するための具になっていた。
扉をけると、麗子が窓辺にいた。
青いカーディガンにのロングスカート。
髪はろで1つに結び、ベッド脇の瓶から枯れかけたを抜いている。
い首筋に、細いの鎖が見えた。
修が入った瞬、麗子は1度だけ彼の顔を見た。
線はすぐ束へ移った。
修は束を差しした。
「に任せました」
麗子は束を受け取った。
「美保、匂いのいは気分が悪くなるのよ」
修のが止まった。
「あ、そうだった」
ベッドので美保が目をけた。
頬は痩せていた。
にはい成りの子をかぶっている。
病の襟元からた鎖骨は以より際っていたが、目の形だけは若い頃から変わらなかった。
美保は々しい声で言った。
「せっかく持ってきてくれたんだから、廊に飾ってもらえばいいわ」
それでも、修を庇う調子が残っていた。
修はベッドにづいた。
「ごめん。次は気をつける」
美保は微笑んだ。
「次はより靴」
修はポケットを探った。
「あ、昨美保に頼まれていた。
でがえるから、柔らかい綿の靴を持ってきてほしいって」
修はスマートフォンへメモした。
そので秘へ転送するつもりだった。
だが取引先から話が入り、そのまま忘れた。
修は鞄を探りながら言った。
「にあるかもしれない」
無いことは分かっていた。
麗子がベッド脇の引きしをけた。
品のい靴が綺麗に畳まれて入っていた。
麗子は静かに言った。
「昨私が買っておいたわ」
責める声ではなかった。
だからこそ修の胸に刺さった。
修はをげた。
「助かります」
彼はそう言った。
美保の母親へ。妻に必なものを用してくれたへ。
まるで仕事を代してもらった司のように。
美保はさく笑った。
「お母さんには何でも頼めるもの」
その言葉の、3とも黙った。
麗子は靴を美保のへ履かせた。
壊れ物に触れるような付きだった。
修は果物の箱をけた。
桃が6つ並んでいた。
美保はもう固形物をほとんどべられない。
麗子が箱を見ろした。
「咲に持って帰ってもらいましょう」
修は箱の蓋を閉じた。
「そうですね」
何1つ、妻の今にっていなかった。
も、果物も、訪れるも。
それでも彼はぶらで来ることが怖かった。
何か価なものを持っていれば、そばにいられないを埋められる気がした。
修は腕計を見た。
「今、医師の説は11だったよね」
麗子が答えた。
「11半に変わったわ」
修は顔をげた。
「連絡来ていませんでした」