"四十九日の追放、母の隠し遺言" 第13話
取引履歴の引きしと、久代がSNSに投稿していた豪遊の記録。 私はそれらもすべて、昨夜のうちに付を照し、覧表にまとめていた。
「で千百万円の使途。これは法律、母の財産の当利得、あるいは業務横領にあたります」
「よ、横領だと……!?」 の顔が、気に変していった。
達也さんが座卓をバンと叩いてちがった。 「兄さん……! あんた、伯母さんのをネコババして、自分たちの贅沢に使ってたのか!? その、澄子さんに介護を全部押し付けて、円もさずに!?」
「ち、違う! これは……母さんが使っていいと言ったんだ!」 が見苦しく叫ぶ。
「母はそんなこと、言も言っていません」 私は最の枚――母の公正証遺言を掲げた。
「これを見てください。母が倒れる、公証役で作成した遺言です。母の署名と、公証の印鑑がしっかりと押されています」
私は遺言の本文を、凛とした声で読みげた。
『男・は、過に幾度となく額の銭を無し、病を得たもキャッシュカードを奪してを私利私欲のために費消した。よって、にはいかなる遺産も相続させず、これまでの横領分をもって贈与の超過分とみなす。 女・澄子は、仕事を辞めてにわたりを削って私を病し、私財を投じて支えてくれた。
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よって、私の所する実の、建物、およびすべての預貯は、女・澄子にすべて相続させる』
遺言の文面が読みげられた瞬、座敷から完全に物音が消えった。 母の魂が宿ったかのような峻厳な言葉の数々に、と久代は、まるでに打たれたかのように直していた。
は流れ――。 母の法が執りわれたから数えて、ちょうどのことだった。 晩のたい枯らしが、実の庭の々を揺らしていた。
あの、遺言のをった兄夫婦は、に退散したものの、そのも諦めきれずにいた。 「あんな遺言は無効だ」「認症の母を澄子が言いくるめてかせたに決まっている」と親族に吹聴し、弁護士を雇って実を奪してやると息巻いていたのだ。
そして今。 と久代は、実の名義変更をする類と、ち退きを迫るための怪しげな面を携え、再び実へと乗り込んできた。 のには、親族のが何台もまっている。 は「親族会議で決着をつけてやる」と気揚々と玄関をけ放った。
「おい、澄子! 親族も呼んでおいたぞ! 今こそ黒つけてやるからな!」
と久代がドカドカと座敷へがってくる。 だが――座敷の襖をけた瞬、のがピタリと止まった。
座敷には、親族同が勢揃いしていた。 達也さん、よしえ叔母さん、そしての親類たち。 さらに、座には、私が依頼した元のベテラン弁護士――信代から信頼のい、相続専の弁護士が、然と類を広げて座っていた。 そして庭の縁側には、腕を組んだ信子さんが仁王ちして睨みを利かせている。
の顔に、わずかな揺がった。 「な、なんだこれは……弁護士まで呼んで、げさな真似をしやがって」
久代がろから突き、気な声を張りげる。 「いいじゃないの、あなた! 弁護士ので、遺言の無効を訴えてやればいいのよ! 男の取り分を奪うなんて、法律が許すはずがないわ!」
私は静かに座卓のに正座していた。 私の膝のには、あの『記』が置かれている。 今の付の欄には、すでに最のがき込まれていた。
弁護士の先が、鏡の奥の鋭い瞳をらせ、静かにをいた。
「さん、久代さん。ちょうど良いところにおいでいただきました。加納静様の遺産相続、ならびに過の財産管理に関する清算続きについて、最終なご通告を申しげます」
弁護士は、机のに分いファイルを置いた。
「まず、静様が遺された公正証遺言についてですが、公証役での原本確認、ならびに当の医師の診断を精査いたしました。
作成当、静様の判断能力には何ら問題がなく、法に百パーセント効であると確認されました」