みかん小説
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"十字の紙片と売られた生家" 第15話

受話器の向こうの内先の声は、静かな勝利を確信した落ち着きを帯びていました。

「これで、お宅のと建物に当なが及ぶ配は完全に消えりました。また、健太君の勤務先に対しても、私から最限の筋を通す形で連絡を入れ、法な問題が会社に波及しないよう収拾を図りました。彼らはカナダへの移を取りやめ、都内の別の部署で、自分たちの力だけで直すことになるでしょう」

「内先、何から何まで……本当に、言葉もございません」

「いえ、修との約束を果たせただけです。結菜ちゃんの親権と見の続きも、裁判所へ迅速に申してをいました。何も配いりません。堂々と、おでを向いてお暮らしください」

話を切り、受話器を置いたとき、私の胸のの最の淀みがすっきりとれ渡っていきました。

リビングの窓のを見ると、の澄み切った夜空に、凛としたがぽっかりと浮かんでいました。

テーブルの隅には、結菜が渡してくれたあの文字のチラシの切れが、額縁の横に切に置かれていました。

それは、嵐の夜を越えてに入れた、私たちの絆の証でした。

「おばあちゃん、お呂沸いたよ! 緒に入ろう?」

脱所から顔をした結菜のるい声が響きました。

「はいはい、今くわね」

私はちがり、歩歩、確かな取りで廊を歩きしました。

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守り抜いたこので、する孫娘のを取りいながら、私のしいが今、静かに、そして力く始まったのです。

 

湯がりの廊を歩く元には、欅の板の柔らかな温もりがじんわりと伝わってきました。

脱所から漂う鹸の懐かしいりと、台所のお茶のりが混ざりい、全体がいの眠りから覚めたような穏やかな空気に満たされていました。

結菜はドライヤーでい髪を乾かしながら、元のスマートフォンを机のに置き、どこか吹っ切れたような清々しい笑顔を私に向けました。

「おばあちゃん、パパとママの連絡先、LINEも話も全部ブロックしたよ。内先が『もう直接話す必は切ないからね』って言ってくれたから」

結菜の指先はもう切震えていませんでした。

自分のでち、自分の未来を自分で守り抜いたの女の、凛としたさがその瞳に宿っていました。

「そう。よく決断したわね、結菜」

私は急須から淹れたての温かいほうじ茶を湯呑みに注ぎ、結菜のにそっと差ししました。

結菜は両で湯呑みを包み込み、「ふう」とい息を吹きかけながら、切そうにすすりました。

「美しい……。パパとママといたはね、毎息が詰まりそうで、お茶のなんて全然しなかったんだよ」

その言葉を聞くたび、この子がどれほど孤独な圧に耐え忍んできたのかが痛いほど分かり、私の胸はきゅっと締め付けられました。

「これからはね、結菜。べたいものをべて、きたい学を目指して、あなたの好きなようにきていいのよ。このも、おじいちゃんが遺してくれたおも、すべてあなたのために使うんだから」

私の言葉に、結菜は目を赤くしながらも、力く何度も頷きました。

「うん! 私、おばあちゃんみたいな優しいになりたい。護師か福祉のにんで、おばあちゃんをずっと支えられるようになるのが、今の私のなんだ」

を語る孫娘の瞳は、夜空のどのよりも眩しく輝いて見えました。

翌朝、の空がみ始めると同に、庭の々に鳥が集まり、澄んださえずりを響かせ始めました。

昨夜までの嵐のような緊迫が嘘のように、静かで希望に満ちた朝でした。

私はいつものようにに起き、割烹着を結んで台所にちました。

結菜のお弁当箱をけ、卵焼きを焼き、唐揚げを揚げ、彩りよく詰めていく作業は、昨までと同じはずなのに、指先にこもる温もりがまるで違っていました。

「おばあちゃん、おはよう!」

制を着た結菜が、元気に階段を駆けりてきました。

朝の鮭の塩焼きと炊きてのご飯、い噌汁を平らげると、結菜はピカピカに包まれたお弁当箱を両で切そうに通学鞄にしまいました。

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