"十字の紙片と売られた生家" 第13話
そして、結菜の親権を法に美智子へと委譲し、度と結菜のに現れないと公正証で誓約すること。それがめないのなら、今すぐ警察の方々にに入っていただきます」
内弁護士のろに控えていたの調査員が、帳を胸ポケットから覗かせながら歩へとみました。
その威圧のに、健太と真由美に選択の余など残されてはいませんでした。
健太は力なく首を垂れ、涙とで顔をぐしゃぐしゃにしながら、掠れた声で絞りしました。
「……分かりました。母さんの言う通りにします……すべて、放棄します……」
真由美もまた、に突っ伏したまま、ただ刻みに頷くことしかできませんでした。
内弁護士が差しした誓約に、は震える指先でペンをらせ、拇印を押しました。
契約が交わされた、はまるで見えない霊に追われるかのように、荷物をまとめるために階へとうようにがっていきました。
やがて、数個の型スーツケースを転がしながら、が逃げるように玄関のドアをけてていく乾いた音が響きました。
ガチャリ、とい鉄の扉が閉まる音。
、私を縛り続けていた因縁と、勝な欲のが、完全にこのから消えった瞬でした。
「終わりましたね、美智子さん」
内弁護士が穏やかな笑みを浮かべ、類を鞄に収めながら私にをげました。
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「修も、国で胸を撫でろしているはずです。本当によく戦われました」
「内先、本当に……本当にありがとうございました。夫が遺してくれたご縁がなければ、私はどうなっていたことか……」
々とをげる私の隣で、結菜が内弁護士に向かって、涙を拭いながら々と礼しました。
「先、おばあちゃんを守ってくれて、ありがとうございました」
内弁護士は結菜のに優しくを置き、力く頷いてから、事務所のスタッフたちを伴って静かにをにしました。
静寂が戻ったリビングに、柔らかなのがたっぷりとり注いでいました。
吹き抜けのい井を見げると、欅の梁がいつもと変わらぬ力さで、このをしっかりと支えてくれていました。
黒柱に刻まれた、幼い健太の背丈の傷跡。
それはもう、私を苦しめる鎖ではなく、過ぎったつの代の記憶として、静かにそこに佇んでいました。
「おばあちゃん……」
結菜が私のカーディガンの袖を、さなでそっと引っ張りました。
振り返ると、結菜の瞳には粒の涙が浮かんでいましたが、その元には、久しぶりに見る幼い頃のような無邪気な笑顔が咲いていました。
「結菜、怖かったでしょう。よくで耐えて、教えてくれたわね」
私は両を広げ、駆け寄ってきたしい孫娘を、力いっぱい抱きしめました。
結菜のさな肩が、私の胸ので激しくし、これまでの恐怖と孤独を吐きすように、声をげて泣きじゃくりました。
「おばあちゃん、私……ずっと怖かった……。おばあちゃんが奥に連れてかれちゃったら、私、になっちゃうって……」
「丈夫よ、結菜。もう誰もあなたを連れることはできないわ。こので、でずっと暮らしていきましょう」
私は結菜の温かい背を何度も、何度も優しく撫で続けました。
のひらを通して伝わってくる結菜の命の温もりが、私のえ切っていたを、芯からじんわりと温め直してくれました。
テーブルのには、結菜が命がけで渡してくれた、あの文字のチラシの切れが、の陽を浴びて静かに置かれていました。
それは、勝なたちの企みを打ち砕き、私たちを救いしてくれた、世界でたったつの尊いお守りでした。
私は涙をの甲で拭い、結菜のをしっかりと握り締めました。
「さあ、結菜。温かいお茶を淹れ直しましょう。お昼には、あなたの好きなちらし寿司を作りましょうね」
「うん! おばあちゃん、私もお伝いする!」
結菜は袖で涙を拭い、太陽のようにるい笑顔を私に向けてくれました。
台所へ向かう私たちの取りは、羽のように軽やかでした。
夫と守り抜いたこの温かいで、私と結菜のしい、本当の族としての暮らしが、いま静かに、そして力く幕をけようとしていました。