"十字の紙片と売られた生家" 第12話
私は懐から、あのく折られた文字の切れを静かに取りしました。
そして、健太の目ののテーブルに、カサリと音をてて置きました。
「健太、あなたはこのに見覚えがあるかしら」
健太はに膝をついたまま、震えるでその字のを見つめました。
「こ、これは……チラシの裏……?」
「結菜がね、昨の夕方、泣きながら私のに握らせてくれたのよ。『おばあちゃんを助けて』って」
その言葉を聞いた瞬、リビングの隅にっていた結菜が、歩へ踏みしました。
結菜の制のブレザーの裾はさく震えていましたが、その瞳には、昨までの怯えは切ありませんでした。
「パパ、ママ。私、全部聞いてたよ」
結菜の澄んだ声が、部の空気を切り裂きました。
「先週の夜、がリビングでお酒をみながら話してたこと。『あのババアを奥の施設にぶち込めば度と京に戻ってこれない』って、『連絡先も解約して捨ててしまえば遺産の管理も自由になる』って、笑いながら話してたの、全部録音して内先に送ったの」
結菜はスマートフォンの画面をに見せつけました。
画面には、鮮に保された音声データの波形が静かに揺れていました。
「ゆ、結菜……お、自分の親を売ったのか……!? 育ててやった恩を忘れて……!」
健太が血った目で結菜を鳴りつけようとちがりかけました。
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しかし、その瞬、内弁護士が鋭い取りで割って入り、健太の胸元を帳で制しました。
「健太君、言葉を慎みなさい。結菜ちゃんを育てげたのは、共働きを理由に育児を放棄し続けていた君たちではなく、ここにいらっしゃる美智子さんだ」
内弁護士の厳しい叱責に、健太は言葉を詰まらせて息を呑みました。
「さらに言わせてもらえば、結菜ちゃんはすでにであり、自らのを法に表できる齢です。彼女はすでに、君たち両親からの親権濫用およびネグレクトを理由に、美智子さんを未成見とする申しての向を正式に示しています」
「親権の……剥奪……!?」
真由美がに爪をてながら、絶望に満ちた叫びをげました。
「そんなの認められるわけないわ! 私たちはカナダに移するのよ! ビザだって、向こうの仕事だって決まってるのよ!」
内弁護士はややかな差しで真由美を見ろし、鞄からもう通の類を取りしました。
「ビザですか。残ですが、その移計画も本をもって完全に破綻しましたよ」
「……え?」
「君たちがカナダ使館に提していた移資の残証ですが、このの売却見込み額と、美智子さんの定期預を担保にした違法な虚偽申告が含まれていましたね。今朝番で、当事務所から入国管理局および使館へ正式に告発状を送付しました」
部のに、い静寂が落ちました。
「虚偽申請によるビザの発止はもちろん、佐久氏との共謀による詐欺未遂および背任罪の疑いで、所轄の警察署へも被害届を提する準備がっています」
内弁護士の宣告は、逃げのない鉄格子のようにを完全に囲い込みました。
健太は顔面を蒼にし、唇を刻みに震わせながら、力なくに崩れ落ちました。
「終わりだ……俺の赴任も、会社でのも……全部終わりだ……」
真由美は虚ろな目で宙を見つめ、ただのないうめき声を漏らすだけでした。
自分たちがを踏みにじって築こうとしていた華やかな砂のが、元から音をてて崩れった瞬でした。
私はのに歩み寄り、静かに線を落としました。
「健太、真由美さん。あなたたちの荷物は、今にこのからすべて運びしなさい」
私の声には、りも、みも、そしてれみすらも含まれていませんでした。
ただ、の歳を経てされた、絶対の審判の響きだけがありました。
「私はあなたたちを警察に突きすことまでは望みません。それが、私が健太に対して残せる、最の親のけです」
健太が弾かれたように顔をげ、すがるような目で私を見つめました。
「か、母さん……!」
「ただし、条件があります。このとに関する切の権利主張を永久に放棄すること。