"十字の紙片と売られた生家" 第11話
「な、弁護士……? 内……? なんで親父のりいの弁護士がここにいるんだよ!」
健太の狼狽した叫び声が響き、続いてスーツを着こなした髪混じりのの男性――内弁護士が、の若いアシスタントと警察帳のようなバッジを胸につけた調査員を従えて、堂々とリビングへとを踏み入れてきました。
真由美は子からちがり、目を見いてずさりしました。
「な、何よこれ! お義母さん、これ体どういうことなの!?」
私はゆっくりとちがり、たくえ切った線で、息子夫婦の顔を正面から見据えました。
「健太、真由美さん。私はこのを売るつもりも、あなたたちの選んだ劣悪な施設に入るつもりも、最初から切ありません」
私のから放たれた凛とした声に、健太は顔を真っ赤にして激昂しました。
「ふざけるな! 昨『分かった』って言ったじゃないか! 母さん、ボケたのかよ!」
「ボケてなどいませんよ、健太君」
内弁護士がにみて、黒いアタッシュケースから通の公正証と、分い調査報告のファイルをテーブルのに叩きつけました。
「君たちがめていた、悪質な産業者とのリベート契約、そして美智子さんの資産を正に横領してへ逃しようとしていた計画の全容は、すでにすべて把握しています」
その言葉がた瞬、真由美の顔からサッと血の気が引き、膝から崩れ落ちるようにそのにへたり込みました。
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「リベート……!? な、何を言っているんですか! 根拠のない言いがかりはやめてください!」
へたり込んだ真由美は、乱れたい髪を両で払いげながら、切り声をげて内弁護士を睨みつけました。
しかし、内弁護士の差しには、揺の欠片すら微も浮かんでいませんでした。
「根拠ですか。真由美さん、あなたの学代のである『株式会社サンライズ所』の営業部、佐久という男をごじですね」
内弁護士は静かに帳をき、徹な声で事実を淡々と読みげ始めました。
「今朝の段階で、当事務所の調査チームが佐久氏の座の流れ、および過ヶの貴女との通信ログの保全続きを完しました。昨夜の段階で、彼が社内規定を破って作成していた裏契約の写しも既に入済みです」
内弁護士がテーブルのに滑り込ませた枚の面には、目を覆いたくなるような文面が記されていました。
そこには、このと建物を相の半分以の千百万円で買い叩き、、正規の数料とは別に千百万円の裏を真由美名義の個座に振り込む旨が、確に約定されていました。
「そ、そんな……どうしてそれが……!」
真由美の喉から、掠れた鳴が漏れました。完璧に塗られていたピンクベージュのが、気の唇ので無残に浮きがっていました。
健太は信じられないといった様子で真由美の肩を乱暴に掴み、激しく揺さぶりました。
「おい、真由美! 千百万のキックバックって何だ!? お、俺には『りいだから特別に値で買ってくれる親切なだ』って言ってただろ!?」
「あ、あなただってカナダでの起業資がりないって焦ってたじゃない! 私はあなたのために……!」
「嘘をつくな! 俺の座じゃなくて、おの個座に全額入る契約になってるじゃないか! 俺を騙してたのか!?」
醜い責任の擦り付けいが、静まり返ったリビングに響き渡りました。
昨まで私を奥の施設へ追いやるために固く結託していた夫婦の絆など、己の保のには枚のティッシュペーパーよりもく、脆いものでした。
私は静かに歩みをめ、争うのにち塞がりました。
「健太、真由美さん。醜い争いはそこまでにしなさい」
私のく凛とした声に、はハッと息を呑んできを止めました。
「母さん……頼むよ、俺は本当にらなかったんだ! 全部この女が仕組んだことで……俺は母さんを捨てるつもりなんて……!」
健太はテーブルにすがりつき、けない涙をボロボロとこぼしながら、私の元に両をついて懇願してきました。
、塩にかけて育ててきたが子の、あまりにも惨めで愚かな姿でした。