"十字の紙片と売られた生家" 第8話
提示された見積もりの裏に、そんな汚いリベート作が隠されていたとは。
そして、はさらに恐ろしい核へと続いていました。
『の朝、パパは「続きを全部代してあげるから」と言って、おばあちゃんの実印と、すべての座の通帳、キャッシュカードを預かろうとします。度渡したら、おばあちゃんの定期預も解約されて、毎の遺族と国民の振込座も全部パパ名義の座に送されるように設定を変更されちゃう』
『そしておばあちゃんを老ホームに放り込んだら、連絡先を全部解約して、度と本には戻ってこない気です』
の最には、が破れそうなほどい圧で、こう記されていました。
『おばあちゃん、私、こんなひどいたちの子供であることが悔しくて、けなくて、にたいくらい苦しいです。私の学費も、おばあちゃんのおからす気なんだよ。私はそんなおでカナダなんかきたくない! 私はずっとおばあちゃんと緒にいたい! お願い、助けて、おばあちゃん……!』
結菜の魂の叫びが、面から私の胸板を激しく打ち据えました。
読み終えた瞬、私の目から溢れた粒の涙が、机のの切れを濡らしました。
。
腹を痛めて産み、病気をすれば夜を徹して病し、き夫とともに全全霊を注いで育てげたが息子。
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その息子が、妻と結託し、自分をここまで育てた母親を里れた監獄のような施設に売りばし、財産を奪い尽くしてへ逃しようとしていた。
あまりの残酷さに、臓腑が千切れるような激痛がりました。
しかし、その激痛と涙の奥から、今までにじたことのないほど徹で、鋼のようにいりが湧きがってきました。
泣いているではない。
私が絶望に打ちひしがれて倒れてしまえば、あの欲なに財産を奪われるだけでなく、私を救おうと命がけで真実を告げてくれたしい結菜まで、彼らの毒にかかり、異国のへ連れられてしまう。
「結菜、よく教えてくれたわね……」
私はの甲で乱暴に涙を拭いりました。
読灯のかりので、私の瞳はかつてないほど鋭く据わっていました。
私は机から静かにちがると、音を完全に忍ばせながら部をて、廊の突き当たりにある仏壇のへと向かいました。
に沈んだの引き戸を、指先ひとつで音をてずにけました。
線の残りが漂う部の、私はき夫・修のきな遺のに静かに正座しました。
写真のの夫は、穏やかな笑顔で私を見つめ返していました。
私は両をわせ、のでく語りかけました。
「お父さん、見ていて。
あなたの遺してくれたこのも、私たちが築いてきた誇りも、そして何より結菜の未来も……あんな届き者たちに、指本触れさせはしないから」
私は祈りを捧げ終えると、仏壇の最部にある幅広の引きしにを伸ばしました。
その引きしを完全に引き抜くと、奥の羽目板にさな隙が隠されていました。
夫が、万がの盗難に備えてに特注で作らせていた、底の隠し庫でした。
私は指先を差し込み、隠し板を静かに持ちげました。
そこには、緑の布に包まれた頑丈な提げ庫が、ひっそりと収められていました。
私は暗ので慣れたつきでダイヤルを桁わせ、鍵穴に細い鍵を差し込んで回しました。
カチリ、とさな属音が響き、い蓋がきました。
には、このと建物の原本である「権利証」、夫が倒れる直に公正役で作成していた「公正証遺言」、そして私がコツコツと蓄えてきた定期預通帳と、実印が収められていました。
それだけではありませんでした。
提げ庫の最段には、枚の黒い名刺が丁寧に保管されていました。
『内法律事務所 代表弁護士 内正義』
夫が会社を経営していた代から、あらゆる法な相談を引き受け、数々の困難を乗り越えてくれた無の親友であり、こので最も信頼できる敏腕弁護士の名刺でした。
夫の葬儀の際、内先は私のを固く握り締め、「美智子さん、修のことは残だったが、何か困ったことがあれば、いつでも私を頼りなさい。