"十字の紙片と売られた生家" 第7話
と鋭く咎めました。
結菜はビクッと肩をねさせ、「……うん、分かってる」とさな声で答えるのが精杯でした。
その結菜の震える横顔を見て、私の胸の奥で煮えたぎるようなりの炎が灯りました。
けれど、私は切表を崩さず、お茶を注ぎすふりをしてち回り、「そうね、向こうでの暮らしは楽しみね」と、を殺した穏やかな笑みを貼り付け続けました。
事が終わると、は器を片付ける気も毛なく、また階へとがっていきました。
結菜は器洗いを伝おうとちがりましたが、真由美に「荷造りが終わるまで余計なことしないでくに来なさい!」と階段から呼び戻され、私に痛な線を投げかけながらっていきました。
残された台所で、私は洗い物をつひとつ丁寧に拭きげ、棚に収めました。
すべての事を終え、リビングの照を落としたのは夜の半でした。
階からは、段ボールを閉じるテープの音やの笑い声がしばらく響いていましたが、やがて夜を回る頃には、全体がいと静寂に包まれました。
私は自の布団に入ったまま、暗ので井を見つめ、ひたすらにが経つのを待ち続けました。
柱計がく、ぼーん、ぼーんとつの鐘を打ち鳴らしました。
午。
私は音をてないようにゆっくりと起きがり、音を殺して自の襖を隙なく閉めました。
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机ののさな読灯だけを灯すと、狭い部に淡いオレンジのがぽつりと浮かびがりました。
私はからにつけていたエプロンを机のに広げ、そのポケットの底から、あの文字に折られた切れを取りしました。
のひらに乗るそのさな包みは、結菜のい圧と、幾にも折りねられた指先の執によって、のようにくなっていました。
私は唾をみ込み、机に向かって背筋を伸ばしました。
震える指先を尖らせ、固く差し込まれた折り目の端を慎に引き抜きました。
カサ、とさな乾いた摩擦音が部に響きました。
折、また折といていくたびに、の裏側にびっしりとき込まれた黒い油性ペンの文字が、徐々に姿を現していきました。
それは、チラシのい余を埋め尽くすように、狂おしいほどの切迫と乱れを帯びた、結菜の跡でした。
所々、文字が丸く滲んでが波打っていました。
結菜が涙をぽたぽたと落としながら、暗ので必にこれをいたのだということが、々しく伝わってきました。
私は息を止め、そこに刻まれた文字を言句、網膜に焼き付けるように読みめました。
『おばあちゃん、これを読んでくれてありがとう。本当にごめんなさい。直接話したら、パパとママに気づかれて止められちゃうから、にしました』
冒の震える文字に、私の胸が激しく締め付けられました。
『パパとママが言っていることは、全部嘘です。おばあちゃんのためなんかじゃ絶対にありません』
そこから先には、戦慄するような酷な計略が、克に暴かれていました。
『パパとママが選んだあの老ホームは、奥にあって、で入居者をベッドに縛り付けたり放置したりするってネットの告発で炎している、すごく悪質ない施設です。パパは「あそこなら万もかからないし、どうせ面会にもかないんだから奥で分だ」って、昨リビングで真由美ママと笑いながら話していました』
私の界が、りと衝撃で歪みました。
健太が昼、「費用も抑えられて母さんには分だ」と言い放ったあのパンフレットの裏の真実でした。
『それだけじゃないの。を売る産業者のは、真由美ママの学のサークルの先輩で、裏でを組んでいます。相より千万円以もわざとく買いたたいて契約させて、その業者からパパたちの個座に、現で裏をキックバックしてもらう約束になっているの。そうすれば、親戚や税務署にもバレずに、全額カナダに持ち逃げできるからって』
私のの芯が、カッとくなりました。
あの自然なほどい査定額。