"血染めの写真と三文字のSOS" 第15話
『美桜ちゃんの勇気の証』と、私のきの文字が添えられている。
ページをめくると、そこには美桜ちゃんの表の移り変わりが克に記録されていた。
最初は怯え、く張っていた顔。
太とハンバーグをべてしだけ緩んだ元。
スタジオでレンズに触れて驚いた瞳。
そして、公園の芝で見せた、満面の輝く笑顔。
「こんなに……たくさん……」
結さんの瞳に、ポロポロと涙が溢れした。
そして最のページには、先ほど全員で撮したばかりの、揃った族写真が収められていた。
「結さん」
私は彼女の真っ直ぐな瞳を見つめ、胸の奥底に秘めていたすべてのいを込めてをいた。
「この写真に写っている全員が、俺の族です。……結さんも、美桜ちゃんも、もうじゃありません」
結さんが息を呑み、顔をげた。
「俺は……結さんのことが好きです」
にした瞬、臓が元で激しく脈打つのが分かった。
「最初は、ただ助けたいでした。でも、緒に暮らし、緒に仕事をし、笑いう々ので……俺はあなたというを、からするようになっていました。もし迷惑でなければ……俺たちと、本当の族になってくれませんか?」
スタジオに、静寂がりた。
結さんは目を丸くしたまま、微だにせず私を見つめ続けていた。断られるかもしれないというが私の背をたく撫でた、そのだった。
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結さんの頬が、みるみるうちに綺麗な林檎のように赤く染まっていった。
「……私もです」
「え……?」
「私も……ずっとから、この温かい族の員でいたいと願っていました。……俊介さんのことが、好きです」
その言葉が結さんの唇から紡ぎされた瞬――。
バタンッ!
スタジオの引き戸が勢いよくき、奥から全員が崩を打つようにびしてきた。
「やったあああ! お母さん、おめでとう!」
太が拳を突きげて歓声をげ、母がハンカチで目元を押さえて「ああ、よかったわねえ!」と声を詰まらせた。父も腕を組んで満そうに「俊介、男を見せたな!」と破顔している。
「おたち……全部聞いてたのか!?」
私が赤面して叫ぶと、太がケラケラと笑った。
「当たりじゃん! みんなでずっと応援してたんだから!」
美桜ちゃんがタタッと駆け寄ってきて、太のを嬉しそうに握りしめた。
「太くん、じゃあ……太くんは、ほんとうに私のお兄ちゃんになるの?」
「そうだよ! 今から俺が本物のお兄ちゃんだ!」
「わあ……! うれしい!」
の子供が無邪気にびねてびう姿を見て、私と結さんは顔を見わせ、たまらず吹きしてしまった。
照れくささと、それ以の圧倒な幸福が、スタジオいっぱいに満ち満ちていた。
あれから、というが流れた。
私と結は正式に入籍し、つの族となった。
美桜は私の法な娘となり、太は頼もしい美桜の兄となった。
私たちのスタジオ『フォトルーム』は、結のデザインセンスとコミの広がりによってますます評判を呼び、今では方からも族写真の撮依頼がい込むほどの繁盛を見せている。
「俊介さん、次のお客様がいらっしゃいましたよ!」
階からりてきた結が、エプロンをしながらテキパキと声をかけてくる。
「解! ライティングのセッティングは完してるよ!」
スタジオのメインウォールには、今もあの枚の写真が、磨きげられた製の額縁に収められて誇らしげに掲げられている。
血染めのSOS写真。
来した客から「この写真は何か特別なものなんですか?」と尋ねられるたび、私は胸を張ってこう答えている。
「ええ。うちの自の娘が、族を救ってくれた奇跡の写真なんですよ」
歳になった美桜は、学になった。
最の彼女はすっかりカメラにで、父から譲り受けた古い型のデジタルレフを首から提げ、休のたびに庭や公園へびしていく。
「お父さん、このアングルどうかな?」
「おお、の入り方がすごく綺麗だぞ。でも、元には気をつけてな」
「はーい!」
タンポポの綿毛にレンズをづけて真剣にシャッターを切る美桜の姿を見て、母が目を細めた。
「美桜ちゃん、本当に俊介やじいちゃんの血を引いたみたいにカメラが好きになったわねえ」