"血染めの写真と三文字のSOS" 第10話
結さんは震えるでマウスを握りしめ、自分を責めるように俯いた。
私は結さんの隣に歩み寄り、デスクの横にしゃがみ込んでその顔を見げた。
「結さん、で全部背負い込まないでください。俺たちはもう、チームなんですから」
「……チーム……?」
「そうです。困ったは、仕組みを変えてみんなで解決すればいいんです。結さんに無理をいるようなスタジオなら、繁盛なんかしない方がマシですよ」
私の言葉に、結さんはハッと息を呑んだ。そして、しの躊躇した、おずおずとをいた。
「……さん。実は……以から、し気になっていたことがあって……」
「何ですか? 何でも言ってください」
「今のスタジオのワークフロー、しだけ程を見直せば、劇に効率化できるとうんです」
結さんの瞳に、デザイナーとしての鋭い性が宿った。
「例えば、撮に私がテザー撮の画面をリアルタイムでチェックし、そのでまかなセレクトをえば、撮の写真選別にかかるが半分になります。さらに、背景のるさや基本な肌補正をテンプレート化して自バッチ処理を組めば、私が作業でうのは最終なディテール調だけで済みます。納品も、の郵送だけでなくオンラインギャラリーを導入すれば――」
次々とびす改善案は、どれも論理で、即座に現へ導入能な素らしいアイデアばかりだった。
広告
「結さん、すごいじゃないですか! なんで今まで言ってくれなかったんですか!」
「だって……私のような居候が、経営のことにをすなんて気なんじゃないかって……」
「気なもんか! 良い見は誰がしたって素らしいんです! から、全部そのやり方でいきましょう!」
結さんの提案を取り入れたしいワークフローは、翌から驚異な成果を叩きした。
全体の作業が割以縮され、スタッフ全員の負担が幅に軽減されたのだ。父と母も受付や装の理を伝い、太と美桜ちゃんはプリントされた写真のナンバリングを誇らしげに伝ってくれた。スタジオ全体が、まるでつの族のように温かく能していた。
のあるれた曜、繁忙期を乗り越えた私たちは、慰労を兼ねてくのきな緑公園へピクニックにかけた。
の澄み渡る青空の、芝のに敷かれたレジャーシートので、母が腕によりをかけて作った箱のお弁当が広げられた。
「美桜ちゃんの分は、卵焼きをめにしておいたわよ」
「わあ……! ありがとうございます、おばあちゃん!」
「ずるい! 俺の卵焼きは!?」
「あんたの分もちゃんとあるわよ、欲張りだねえ」
族の賑やかな笑い声の、お腹を満たした太と美桜ちゃんがをつないで滑り台へとっていった。
「美桜ちゃん、あっちにい滑り台があるよ! 競争だ!」
「うん! 太くん、待って!」
の楽しそうなろ姿を、私と結さんは並んで見守っていた。
「……美桜、本当によく笑うようになりました」
結さんが、に揺れる髪をそっとで押さえながら呟いた。その横顔には、会った頃の怯えや壮は微もなく、柔らかで穏やかなが満ちていた。
「ええ。太にとっても、本当の妹ができたみたいで毎楽しそうです」
「さん……そしてご両親には、どれだけ謝してもりません。あの、もしさんがあの写真を拾ってくれなかったら……私たちは今頃、どうなっていたか……」
結さんの瞳に、じんわりと涙が滲んだ。
「泣かないでください。嬉しいは、笑っていてくれなきゃ困りますよ」
私が微笑みかけると、結さんは恥ずかしそうにハンカチで目元を拭い、が綻ぶような満面の笑みを返してくれた。
その笑顔を目にした瞬、私の胸の奥底で、ドクンときな鼓がねがった。
の柔らかな差しを浴びて輝く彼女の横顔が、あまりにもおしく、眩しく見えたのだ。
『おい、おたち! べるに写真を撮るぞ!』
カメラを構えた父の声にに返り、私たちは全員でレジャーシートのにを寄せって並んだ。
脚にカメラをセットし、秒のセルフタイマーを押して駆け戻る。
『はい、チーズ!』