"血染めの写真と三文字のSOS" 第7話
退院から週が経ったあるの夜。
太と美桜ちゃんが階の部でぐっすりと寝静まった、私と結さんはスタジオの階、暗がりのに灯のが差し込むソファー席で向かいって座っていた。松葉杖を壁にてかけた結さんは、膝ので握りしめた自らの指先を見つめながら、ぽつりぽつりと自らの過を語り始めた。
「私……元々は都内の広告代理で、グラフィックデザインの仕事をしていたんです」
「そうだったんですか」
「夫――達也とは、職の取引先としてりいました。結婚は、本当に優しくて頼りがいのあるだったんです。でも……入籍して暮らしを始めた途端、彼の態度が変しました」
結さんの肩が、さく震えた。
「最初は、言葉の暴力でした。『おは何もできない無能だ』『俺がいなきゃきていけない寄虫だ』って、毎毎、格を否定され続けました。そして……美桜を妊娠した頃から、些細なことで鳴られ、平打ちをされたり、物を投げつけられたりするようになったんです」
私の胸の奥で、苦いりがふつふつと湧きがってきた。
「美桜がまれてからは、さらに酷くなりました。赤ちゃんの夜泣きで眠になり、事がしでも滞ると『俺を回しにするのか』と激昂して……あの子の目ので、容赦なく私を殴りつけるようになったんです。
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美桜は……まだ歳や歳だったのに、泣きながら私のにちはだかって、あのさな体で私を庇おうとしていました」
結さんは奥歯を噛み締め、涙を堪えるように線を伏せた。
「このままでは、いつか美桜まで殺されてしまう……そうい詰めた私は、夫が仕事にている隙を見計らって、必最限の荷物と美桜を抱えてをびしました。そして、のツテを頼って見つけたのが、あの古い借だったんです」
素性を隠し、ネットの内職やデータ入力の仕事を夜通しこなして、母子きりでギリギリの活を維持していたのだという。
「でも……あの、突然玄関のドアを激しく叩く音がして……どうやって居所を突き止めたのか、達也がっていたんです。『けろ! 逃げられるとうな!』って鳴り散らして……私は鍵をかけて必に抵抗したんですが、勝のガラスを割られて侵入されました」
結さんの呼吸が荒くなり、当の恐怖がフラッシュバックしているのが見て取れた。
「階へ追い詰められ、揉みいになりました。美桜が『お母さんをいじめないで!』って叫んでびついてきて……彼が美桜を突きばそうとした瞬、私は美桜を庇おうとしてバランスを崩し、階段のから番まで転がり落ちてしまったんです」
「……それで、を……」
「骨折して激痛でけず、携帯話も揉みいの最に踏み潰されて壊れていました。達也は、倒れて苦しむ私の姿を見ろして……『いい気だ。また来るからな』と吐き捨てて、そのままちったんです」
信じられない男だった。自分の妻を階段から突き落として傷を負わせ、幼い娘を放置してちるなど、の所業ではない。
「美桜はパニックになって泣き叫んでいました。救急も呼べない、へ助けを求めにくこともできない……その、あの子が私のバッグから、いつも持ち歩いていた自分の写真を見つけしたんです。『これに所をいて誰かに渡せば、助けに来てくれるかもしれない』って……あの子、割れたガラスでを切って血を流していたのに、その自分の血を使って裏に文字をいて……コンビニまで全力でっていったんです」
結さんは両で顔を覆い、声を押し殺して号泣した。
「歳のあの子に……あんな恐ろしいいをさせてしまった……母親の私が甲斐ないせいで……!」
「結さん、自分を責めないでください」
私はちがり、温かいお茶の湯呑みを彼女のに差しした。
「美桜ちゃんのあの勇気があったからこそ、俺はあなたたちの元へ駆けつけることができたんです。美桜ちゃんは、命がけでお母さんを守り抜いたんですよ。
本当に誇らしい、い子です」
結さんは涙を拭い、顔をげた。しかし、その瞳には依然として拭いれない恐怖のが濃く残っていた。